顔:頭痛など

【60代:女性】Vビームレーザー・IPL光治療も無効で8年間苦しんだ頭部・顔面酒さに対するモヤモヤ血管治療(酒さ、レーザー治療、光治療、ホットフラッシュ)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

帯状疱疹後神経痛について
4年前に右前胸部~背中に帯状疱疹を発症しました。その後、チクチクと針で刺されるような痛みが常に生じるようになり帯状疱疹後神経痛と診断されました。ペインクリニックにてリリカやタリージェなどを処方されましたが、改善なくふらつきなどの副作用が強かったため中止しました。当初よりはましになり眠ることはできているものの、特に前胸部下方の辛い痛みが持続しており、当院を受診されました。診察時に酒さについても下記のように言及されました。

酒さについて
発症は8年前です。夜間に顎以外、顔全体が真っ赤になり(酒さ)強い痛みと火照りを伴い悩んでいました。話していても赤くなるため、人に会うのがおっくうになってしまっていました。頭にも症状が出て、おできがたくさん出て痛みを伴いました。半分抜けるくらいの脱毛もきたしました。皮膚科を受診したところ、体力が落ちたことによるマラセチア菌によるものと説明を受けました。VBM(Vビームレーザー治療)、IPL(インテンスパルスライト光治療)を1ヶ月に1回、7回受けるも症状改善を実感できず止めました。紫外線に気を付けて顔全体を覆うようなマスクをしながら注意して過ごしてきました。

診察時の所見

発症4年の帯状疱疹後神経痛、および発症8年の難治性頭部顔面酒さの診断です。いずれも長期経過であり、特に帯状疱疹後神経痛に関しては改善ができる一方で治療無効の可能性があることをご説明しご理解いただきました。一方、酒さは慢性炎症性疾患であり、モヤモヤ血管(病的新生血管)が深く関与していますので治療による改善が期待できます。併せて微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を受けていただきました。

治療の所見

右内胸動脈より胸部の治療を行った後、頭部・顔面酒さの治療を行いました。顔面動脈では、モヤモヤ血管(病的新生血管)が造影剤の濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。その他頭部の血管など複数箇所の治療を行いました。それぞれ再現痛がありましたが、それに加えて『患部にしっかりと届き、心地よい感じがした』と言われました。
*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円〜357,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

帯状疱疹後神経痛について
しばらくは変わらなくて、むしろ少し痛みが増しているように感じていましたが、治療後2週間くらいから急激に改善し、常にあった痛みが、間隔がある程度できるようになりました。痛みを気にしないように、できるだけ意識を離すようにという指導をこれまでも受けてきましたが、これまではそのようなことは不可能でした。痛みの間隔ができるようになったことで、ようやくそのように意識してみようという気持ちになれるようになりました。治療後1ヶ月半、午前中は痛いものの、午後から夕方までは全く痛みがないときもあるなど、痛くなったり治まったりを繰り返していました。治療後2ヶ月半を過ぎる頃から急激に改善しました。痛くないなと思うと急にパシッと痛くなっていたのですが、そうした頻度が大幅に減りました。まだふいに痛むことはあるものの、以前は針金のさきを丸くしたようなもので刺されているような尖った痛みでしたが、ふわっとした痛みに変わりました。夜よく眠れるようになり、身体全体が元気になっているという確かな実感が湧くようになりました。

頭部・顔面酒さについて
治療後3日ほど顔面の浮腫みがありましたが、それが退くと赤みが出なくなりました。ホットフラッシュのような刺激を感じることはあっても、以前のように赤くならなくなりました。ホットフラッシュのような刺激自体も緩和され頻度も減りました。治療後1ヶ月半、一度だけ赤くなったものの数日でおさまりその後は出ることなく経過していました。その際も真っ赤になるわけではなく、赤いポツポツが出るといった具合でした。その後も順調に経過され、治療後3ヶ月時点では、酒さは完全に消失し赤みが無くなりました。火照りすらも無くなりました。以前は汗もかかなかったのですが、髪の生え際に汗が出るようになりました。ご本人からのコメントもご紹介させていただきます。
『自分は、何かをしたらすぐに信じられるわけではなく、(医療行為など)何かをしてもそのおかげだとは簡単に信じたりはしないが、この治療は本当に受けて良かったと思えている。家族も、『赤みが消えて良かったね、もっと早く行けば良かったね。』と繰り返し言ってくれる。』
『酒さについては、世の中で困っている方は非常に多く、VBM治療やIPL治療はかなり痛いし、治療後の火傷のような皮膚変化がしばらく残る。こうして中から強い痛みを伴うことなく、外見に一時的であっても大きな変化が起こらない治療が有効なのであれば、もっと広めたいし多くの人々が救われると思う』

長期間に及んだ2種類の痛みに対する治療について取り上げました。元々は帯状疱疹後神経痛についてご相談いただいたわけですが、詳しくお話をお伺いする中で酒さに苦しんでおられることを打ち明けていただき、併せて治療を行うに至りました。両者とも良い結果を得ることができて本当に良かったです。種々のお悩みを医療機関で打ち明けることは勇気も要ることだと思いますが、このようにお役に立てることもございますので、諦めずに頼っていただければと思います。これからも種々の難しい痛みに立ち向かってまいります。

帯状疱疹後神経痛の詳しい病状説明はこちら

 
 

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