肩:肩こり・四十肩・五十肩

【40代:女性】20年間苦しんだ首肩こりが悪化し、ついには慢性疲労症候群と言われた症例(首肩こり、慢性疲労症候群)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

20年以上前から首肩こりに悩まされてきました。40歳を過ぎてから原因不明の疲労感、倦怠感、情緒不安定を生じるようになり、更年期も重なることでさらに辛さが増していました。種々の医療機関を受診し、心療内科などにもかかり抗うつ薬、睡眠導入剤、漢方薬処方の他、女性ホルモン補充療法など受けていましたが、慢性疲労症候群などと言われてどうしてよいかわからない状態ということでご相談をいただきました。頸椎症を疑わせるようなしびれや握力低下などがない一方で、首こりのひどい時には頭痛や嘔気も伴っていました。

診察時の所見

首の可動域制限、特に側屈や旋回動作における中等度制限が見られました。肩こりの程度もかなり硬く重症の状態でした。エコー観察では、僧帽筋の線維化所見(線維化が進むとエコーでは白く描出されます)はまだそれほどでもなかったですが、僧帽筋周囲筋膜が肥厚しており、線維化も進んでおりました(高エコー信号)。頸部では、頸椎椎間関節の表層が不整であり周囲に異常血流増生を伴っていた一方で、レントゲンでは頸椎変形は軽度-中等度認められるもののある程度保たれていました。明確な神経症状がないことより、頸椎症ではなくいわゆる重症の首肩こりの状態と判断しました。首肩こりは医学的な病名ではなく、頸性神経筋症候群、僧帽筋痛症、頸肩腕症候群などと呼ばれますが、モヤモヤ血管(病的新生血管)が関与していますので、微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を受けていただきました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態

治療の所見

治療は通常の頸部や肩甲骨周囲の他、顔こりの症状もあるとのことでしたので顔面の治療も併せて行いました。それぞれモヤモヤ血管が造影剤の濃染像として確認されましたが、特に頸部や顔面の動脈造影では濃染像が強く認められました。治療後は画像上速やかに消失しました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円〜357,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療当日および翌日は肩に熱さを感じました。2週後の診察時ではまだ大きく変わった実感はありませんでしたが、夫からはある朝起きた時の顔色が変わってきたと言われたり、何をしても駄目な気がして何もする気にもならなかったのが、良くするためにはどうしようかと考えられるようになりました。重症で心理的要因も加わっている場合、本人の実感よりもこのように周囲からの指摘で気づいたり心情的な変化から効果が表れてきたりということがあります。治療後1ヶ月では、はっきりと症状の改善を実感され、半分程度の症状が良くなり、首の動きも改善しました。仕事への復帰も果たしました。散歩やラジオ体操を始めました(以前はそうしたことをやろうとも思えなかったとのこと)。仕事再開後は以前より軽やかに動けるようになり驚かれました。治療後2か月、引き続き順調でしたが食欲は保たれているのに痩せてきました。首肩や腰部の治療後に時々経験されるのですが、良く汗をかくようになり体重が減少してくるということがあります。治療後は血行が大幅に改善することが多いのですが、それにより代謝が上がるためではないかと考えられます。首の可動域も改善してきて、治療後半年の時点でも特にぶり返すようなことがないことを確認したうえで終診となりました。休職せざるを得ないほどの重症状態であり、心理的抑鬱も合併していたため通常よりも長めに診療を続けましたが、ご自身でも日常生活の改善や運動習慣の導入などに取り組んでいただいていますので今後も良い状態を持続できるものと期待しています。

首肩こりの詳しい病状説明はこちら

 

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