顔:頭痛など

【50代:女性】顔面に生じた難治の痺れと痛み、顔面骨折に三叉神経第2枝損傷を合併した外傷後疼痛に対するモヤモヤ血管治療(外傷後疼痛、顔面骨折、三叉神経第2枝損傷)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

1年半ほど前に転倒した際、右顔面を骨折しました。直後から鼻と口の間が痺れ、右頬は押さえるとビリビリとしました。口の中も何となく痺れている感じがしました。痛みなのか痺れなのか分からないときもありました。脳神経外科、口腔外科などを受診し、三叉神経第二枝損傷と診断されましたが有効な治療方法が無く、半年間、鍼灸治療に通いました。最初は効果を感じていましたが、回を重ねるごとに効き目が弱くなりました。鍼灸師には、右顔の深部でまだ出血しているようだと言われました。自分の皮膚では無い感じがして、ヒリヒリとするほか、触るとピリピリしました。敏感な部分と鈍麻している部分とが混在していました。これらは特に冬になると増悪しました。ストレスからか、体重は5kg減少し、精神科に通院はしていないものの鬱傾向を自覚していました。外傷後疼痛に対するモヤモヤ血管治療の有効性を知り、当院にご相談されました。

診察時の所見

外傷後神経障害については、いかなる治療を行ったとしても取り戻せない部分がありますが、一定の慢性炎症が持続していることは明らかであり、治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、三叉神経第2枝領域を主に灌流する顎動脈にてモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。顔面動脈でも同様に、豊富にモヤモヤ血管が描出されました。いずれも治療後は画像上速やかに消失しました。その際、再現痛も明確に認められました。感覚が鈍麻しているため忘れていたが、実際に打撲した部位にも再現痛を感じたとのことでした。治療に伴う強い痛みはなく、むしろ治療直後から少し楽になりました。その他複数箇所の治療を行い終了しました。
*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:治療する部位によって費用が異なりますのでこちらをご参照ください。
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療直後から大きな変化がありました。離院時には、触れなくても感じていた症状が劇的に良くなりました。塊だったものが、氷が融けていくように変化していっている感覚がしました(激変して驚かれていました)。鍼灸の時は、鍼を刺している時は良い感じがしても帰り道にはもう期待できない感じでしたが、カテーテル治療の場合は明らかに良い感じがして、その日から気持ちが上向いたそうです。その後、一旦症状が戻ったように感じましたが、再び改善してきて、治療後2週間で顔の内側の痛みがはっきりと改善していました。熟睡できる日が多くなりました。つまようじ、竹イボが入っているような感じ、つまったような感じがしていましたが、それがぼんやりとしてきて流れ方が変わったように感じました。何より非常に明るい調子でお話いただいたのが印象的でした。治療後1ヶ月、夜のひどい痛みはだいぶ治まりました。すごく調子が良いと感じられる日もありました。良い時は症状が半減しているくらいになりました。治療後2ヶ月、痛みをあまり意識しなくなり、忘れていることが多くなりました。動いた後や、長時間運転後に痛み・痺れが出てくることはあるものの、休めば治りました。以前は症状が出るとひどく落ち込んでいましたが、そうならなくなりました。生活が本当に楽になりました。凡そ6割程度の症状が軽減されました(治療前を10とした時にほとんど4、ひどい時で6)。治療後3ヶ月、ほとんど、痛いとは感じなくなりました。凡そ8割程度の症状が軽減されました(ほとんど2、ひどい時が4と表現)。痛みの範囲が狭くなり、中心側に小さく残っている感じでした。日によっては鼻が詰まったように感じたり、一定の感覚鈍麻があったりするものの術前に比べると明らかに改善しました。一般的には非常に難しい部類の痛みでしたが、治療が奏功しました。顔面の症状はストレスも強く、大変辛い日々を過ごしておられましたので、改善されて本当に良かったです。残存症状については、追加治療によるさらなる改善が見込まれます。

外傷後の疼痛はこれまでも度々取り上げてまいりましたが、有効率は非常に高いです。完全に良くなるかどうかは個々の事例により異なりますが、他に中々有効な手立てがなく、有力な治療選択肢と言えるでしょう。治らない、後遺症だと言われてもあきらめる必要はありません。お気軽にご相談いただければと思います。

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