足:アキレス腱炎、足底筋膜炎、踵骨棘など 【40代:女性】朝起きて1歩目からかかとに激痛が!教師に生じた難治性足底筋膜炎 2020.10.15 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 半年前からかかと(踵)や足の裏に激痛が走るようになりました。接骨院に定期的にかかっていましたが、あまりの痛みに整形外科を受診したところ、足底筋膜炎、踵骨棘と診断されました。この場合の外科手術は難しいと言われ痛み止めにて様子をみることとなりましたが、日増しに痛みが強くなり、朝から晩までどころか夜中まで痛みで寝られない日が続くようになり当院を受診されました。 診察時の所見 踵の骨の内側の出っ張り部分(踵骨内側隆起)に圧痛を認めました。レントゲンでは、指摘されたように踵骨棘を認めました。踵骨棘は必ずしも痛みの原因になるというわけではありませんが、小さな断裂と修復、炎症が続く、あるいは腱からの張力により骨が引っ張られることなどによりできると考えられています。つまり、長く続いた炎症の結果生じているという見方もできるのです。典型的な難治性足底筋膜炎と判断されたため、運動器カテーテル治療を受けていただきました。 治療の所見 血管造影検査では、痛みの部位に一致して踵骨内側隆起を中心に病的新生血管による濃染像(モヤモヤ血管)を認めました。一時塞栓物質を投与することで造影上直ちに消失しました。 治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管 治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態 治療費用:税込324,500円 主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。 治療後の経過 かなり痛みに過敏になっており、1歩歩くのも辛いという状態でしたが、1ヶ月後にはかなり楽になり、特に夜の痛みは全くなくなりました。再発予防のため、インソールも作っていただきました。新たに生じる負担を軽減するため、大変重要です。これまで履かれていたことのある、つま先から踵までフラットなペタンコ靴は絶えず足に負担がかかることになるので極力避けていただくようにお願いしました。単に踵に炎症が生じているのみならず、痛みを受け取る脳が非常に過敏になっている状態でしたので体質改善も促していく必要があります。引き続きフォローアップさせていただいております。 足底腱膜炎は、『朝起きて一歩目から痛い』『立ち上がる時に痛む』などの特徴があり、ふくらはぎやアキレス腱が固い、扁平足で長時間立ち仕事をする、硬い地面の上に長時間立つ、踵の高い靴をよく履く、足のアーチが過度に高い(あるいは低い)などが原因となります。踵と足指関節をつなぐように伸びている腱のいずれの部位でも痛みが出ますが、典型的には踵の内側の踵骨内側隆起という腱の付着部周囲が痛くなります。治療には痛み止めや湿布、装具療法、ヒアルロン酸注射、ステロイド注射の他、体外衝撃波治療(難治性足底腱膜炎に対して2012年より保険適応)、PRP注射(多血小板血漿;自費診療)などがありますが、ステロイド注射は腱膜の断裂を招く恐れがあるため繰り返しの注射は避けなければなりません。当院にはこれらの治療で効果がなかった方も多くいらっしゃいます。そういった重症の方であっても血管内治療(EVT)は有効であり、なおかつお体の負担が少なく安全であるのが良い点だと思います。 足底筋膜炎の詳しい病状説明はこちら 【70代:男性】帯状疱疹後、発疹は消えたのに4年以上経ってもよくならない胸背部の痛み 前の記事 【60代:男性】ステロイド注射でもよくならなかった、ゴルフ愛好家に生じたばね指 次の記事