腰:椎間関節炎など 【40代:男性】立ち上がり/動き出しの痛み、座位や仰臥位で悪化・・介護士を悩ませた長年の腰痛(腰椎性腰痛。腰椎椎間関節炎、棘間靭帯炎、ぎっくり腰) 2025.01.20 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 不詳ですが、何年も前から左腰に痛みがありました。立ち上がる時や動き出したときにピキッと痛み、注射治療や超音波治療で都度治まっていましたが、最近はぎっくり腰のような痛みが出てくるようになりました。実際に2回ほどぎっくり腰にもなりました。CTやMRI検査では第5腰椎と仙骨の間が狭くなっていると言われましたが、その他の異常はありませんでした。座位や仰臥位が特に辛く、当院を受診されました。介護職で、夜勤にも従事していました。 診察時の所見 前屈で中等度の制限があり、L3/4,4/5レベルにおいて、棘間靭帯や腰椎椎間関節近傍に圧痛を認めました。圧痛は境界明瞭で非常に限局的でした。レントゲンでは腰椎が直線化しているものの、ある程度保たれていました。下肢へ放散するような疼痛やしびれは認められませんでした。その他の身体診察を含めて、腰椎椎間関節炎および棘間靭帯炎、さらに左側優位の仙腸関節障害の合併と判断し、微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を受けていただきました。 治療の所見 腰動脈、腸腰動脈、外側仙骨動脈などで特に再現痛を認めました。その他複数箇所の治療を行い終了しました。 *再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします 治療後の経過 治療後1週間くらいから改善してきました。治療後3週間の再診時には、普段は痛みなく過ごせるようになっていました。立ち上がりの際の症状も無くなりました。座位や仰臥位も楽にできるようになり、周囲からも姿勢が良くなったと言われました。前述の圧痛は無くなり、筋緊張も大幅に減っていました。一方、まだ3-4日連続して仕事をすると、突っ張るような違和感が生じていました。その後も順調で、半年後も問題なく経過されていました。腰椎性の腰痛、椎間関節炎や棘間靭帯炎はカテーテル治療後の回復が比較的早い疾患ですが、本症例でも早期から改善しました。まだまだ大きく腰椎が変形するには至っておらず、良いタイミングで治療できたと思います。介護職の方は身体的な負担が大きく、夜勤もされているとなると十分な回復がなされないまま疲労が蓄積されるリスクがあります。大変よく頑張って来られたわけですが、今後の再発防止のためには、働き方を見直す必要もあります。職場と相談しながら、持続可能な働き方を構築できるとよいですね。 腰椎椎間関節炎・棘間靭帯炎・ぎっくり腰の詳しい病状説明はこちら 【10代:男性】高校1年生のバスケットボール選手を1年以上悩ませた股関節痛(グロインペイン症候群;鼠径部通症候群)(グロインペイン症候群、鼠径部通症候群、バスケットボール) 前の記事 【60代:女性】Vビームレーザー・IPL光治療も無効で8年間苦しんだ頭部・顔面酒さに対するモヤモヤ血管治療(酒さ、レーザー治療、光治療、ホットフラッシュ) 次の記事