腰:椎間関節炎など

【70代:男性】寝たきりの一歩手前・・腰椎ヘルニア手術後にも残った右下肢の痛みと痺れ・・対処法は?(腰椎椎間板ヘルニア手術後、坐骨神経痛、フレイル)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

8ヶ月前から腰痛および右下肢の坐骨神経痛があり、整形外科を受診したところ、MRI検査にて腰椎椎間板ヘルニア(L4/5およびL5/S1)を指摘されました。4ヶ月前から3ヶ月に亘り、毎月3度に亘りヘルニアの手術を受けました。これにより腰痛は楽になったものの、右下肢痛が改善しませんでした。痛みは常にあるため、いつもベッドで横になっており、支えがないと歩けない状態でした。鎮痛薬や注射も効果がなく、途方に暮れていたところ、当院で治療を受けた知人の方に話を聞いて妻にすすめられ受診されました。

診察時の所見

歩行器歩行にてゆっくりと入室されましたが、歩容はかなり不安定でした。立位維持ができず、可動域の確認など一部の診察は困難であったため、ベッド上にて診察を行いました。股関節の動作などは問題がない一方で、右後上腸骨棘や臀部や坐骨神経痛の圧痛点などで有意に圧痛を認めました。前医の腰椎MRI画像では、2箇所のヘルニアの膨隆部は切除され小さくなっていました。手術により新たな痛みが出現しているわけでもありませんでした。手術は成功し、腰痛は改善したものの、右下肢の坐骨神経痛が残っているという状態でした。
一部の右腰椎神経根症状が残っている他、腰椎以下の部位において神経が障害されている可能性などが考えられました。大きな物理的な異常は解除されていますので、微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)による症状改善が期待できると判断し治療を受けていただきました。

治療の所見

右腰部~股関節周囲レベルまで広範囲の治療を行いました。

治療後の経過

治療後2週間、まだ痛みは変わらず、むしろリハビリをして痛みが増してしまっていました。治療後1ヶ月、やはり変わりませんでした。痛くて動けないと感じているため、ほとんど横になって過ごしていました。受診前の特に増悪した時期から数えると、5ヶ月間ずっと動いていないため、筋力が大幅に低下し、それに伴い歩行能力も悪化していました。一方、よく眠れるようになり、少し気分が上向いてきました。治療後1ヶ月半、それまでは来院する際、いつも電車の中でずっと横になり寝ていましたが、椅子に25分くらいは座ってくることができるようになりました。自宅ではやはりほとんど横になっているとのことでした。疼痛が緩和されてきていましたが、運動機能の回復にはリハビリが必要であり、ご自身で動く努力をしなければならないことを改めてご説明しご理解いただきました。中々思うように改善しないことから、追加のカテーテル治療もご希望されましたが、その矢先、突然楽になりました。治療後2ヶ月半の再診時には、「これまでは、もうしばらくすると良くなると説明されても『この医者は何を言っているのだろう』と全く理解できなかった」そうですが、突然良くなったことで大変驚かれました。同時期からリハビリにも積極的に取り組むようになり、治療後3ヶ月では歩容も大幅に改善していました。ぶり返すことがないか、念のため、治療後5ヶ月でもう一度受診していただきましたが、開口一番、『もう治りました!』と言われました。リハビリやウォーキングも続けているとのことでした。これだけ苦労してきたのに、こんなに良くなるのは不思議、信じられない、とさらに言われました。奥様からも、『トイレにも今月から一人で行くことができるようになった(それまでは尿瓶を使用していたそうです)。以前は自分にも辛く当たっていたが、そういうことが少なくなり穏やかになった。自分でできることが増えたことで、私の仕事が一つずつ減ってだいぶ楽になった』と涙ぐみながらお話いただきました。前述のように、以前は電車で座席に横になってしか移動ができず、周囲の方にずいぶんと迷惑をかけていたが、今日は終始座って乗車することができたとのことでした。痺れも全くなくなったと言われました。寝たきりになる一歩手前の様な状態でしたが、ご自身の足で普通に歩いて生活ができるようになりました。5ヶ月間、まともに歩けていなかったわけですから、リハビリも一生懸命がんばられたのだと思います。この治療のことをすすめてくれたのは奥様ですが、奥様の献身的な支えがあったからこそここまで回復できたのだと思います。良い結果となり、本当に良かったです。

椎間板ヘルニア・坐骨神経痛の詳しい病状説明はこちら

 

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