足:アキレス腱炎、足底筋膜炎、踵骨棘など

【70代:女性】親指の付け根が痛い・・外反母趾ではない強剛母趾に対するモヤモヤ血管治療

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

15年前から両膝の痛みがあり、半年前にPRP療法を2回受けて少し改善されましたが、階段が全く上れないくらいの痛みが続いていました。ヒアルロン酸注射は効果がありませんでした。平地歩行でも痛みを感じるようになりましたが、運動器カテーテル治療を受けた知人が5年経っても調子よく過ごせているのをみて受診されました。

診察時の所見

レントゲンを撮ると、両膝の中等度の変形性膝関節症に加えて、右外反母趾、左強剛母趾の所見を認めました。歩行能力に影響しているのは膝関節だけではなく、足趾の影響があったわけです。強剛母趾とは、いわゆる母趾の付け根の関節(MTP関節)における変形性関節症です。膝に問題を抱えている場合、その多くで足にも原因がありますので、当院では必ず足のレントゲンも併せて確認します。両膝の治療目的で受診されたのですが、よくお聞きすると左母趾の痛みもかなり辛いとのことでした。両膝治療時に併せて、両足のモヤモヤ血管(病的新生血管)に対する微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を行うこととしました。

治療の所見

両膝及び右足の治療後、左足背動脈の血管造影を行うと、母趾MTP関節に一致してモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療翌日から足趾の腫れがひいてきました。治療後2週間で平地歩行での痛みは感じなくなりました。治療後1ヶ月、右母趾の痛みは8割程度減少(2/10程度)、左母趾の痛みは6割程度減少(4/10程度)しました。手足の変形性関節症については、動脈注射療法(動注療法)という簡易の微細動脈塞栓術が可能ですので、外来にて足背動脈より直接動注療法を行いました。追加治療から1ヶ月半で左母趾、右外反母趾とも痛みは気にならなくなりました。
(本症例では、母趾にフォーカスしての経過記載としています)

強剛母趾、外反母趾ともモヤモヤ血管治療の対象疾患です。これら単独の場合は、通常カテーテル治療を行うことはなく外来にて5分以内で終わる動注療法の適応ですが、本症例では両膝の治療と併せて治療を行ったため実際のモヤモヤ血管画像を確認することができました。貴重な機会であり、ご紹介しました。動注治療は初診時に短時間で気軽に受けることのできる治療です。お悩みの方はご検討ください。

強剛母趾の詳しい病状説明はこちら

 
 

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