肩:肩こり・四十肩・五十肩

【50代:男性】毎日痛みで寝られない・・4年間経っても治らなかった五十肩の痛み(五十肩後遺症、授動術後遺症、糖尿病)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

4年前、特にきっかけなく右肩が痛むようになりました。整形外科では五十肩と言われ、リリース注射や授動術を受けて一定程度改善しましたが、その後再燃したため、さらに2回授動術を受けました。痛みはずっと続いており、特に夜間痛がつらく眠れない状態でした。可動域は今のままでも慣れておりそれほど困っていないが、痛みをとにかく何とかして欲しいと希望し当院を受診されました。
*糖尿病あり(20年以上前から)

診察時の所見

右肩関節の可動域は中等度以上に制限されており(外転80度、外旋30度他、反対の肩に手を回せない状態)、日常生活に支障をきたすのではないかと懸念されるほどでした。エコー検査では、強い炎症を反映して上腕二頭筋長頭腱水腫を認めた一方で腱板損傷などの組織損傷は認められませんでした。レントゲンでは特に問題ありませんでした。以上より、五十肩後遺症および授動術後遺症と診断し、微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、烏口枝、前上腕回旋動脈、肩甲上動脈、胸肩峰動脈の各血管でモヤモヤ血管(病的新生血管)が造影剤の濃染像として明瞭に描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。ご本人からは、『治療中の姿勢が辛かったが、治療直後からかなり楽になった。毎日痛くて寝られなくて、睡眠不足が続くことで心身ともにこたえていたので、もう既に天国のよう。もっと早く来れば良かった。』と言われました。通常、カテーテル治療の治療効果による本質的な改善には1ヶ月~1ヶ月半程度要しますが、このように即時的な効果が見られる方が時折おられます。病的新生血管が直接的に悪影響を及ぼしていた部分の改善や、痛み物質が一旦洗い流される効果などが作用した結果ではないかと推察されます。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円〜357,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療後2週間、夜間痛が消失し寝られるようになっていました。動作時の一定の痛みはありました。治療後2ヶ月が最終受診となり、その時点ではまだ一定の痛みは残っていました治療後4ヶ月の追跡調査では、夜間痛は全く無くなり改善したが、首から肩にかけての2箇所のしこりのような痛みが残っている。日常生活は全く問題なく過ごすことができているので、自分なりにストレッチをして様子をみるとのことでした。可動域については詳細不明ですが、一定のこりが残っているものの、肩関節の痛みは取れているという状態でした。完全にというわけではないですが、当初のご本人のご希望には応えることができました。五十肩は『7年経っても4割の方は何らかの後遺症を抱えている』というデータがありますが、まさにそれに該当する状態でした。繰り返しの授動術による新たな炎症も影響していた可能性があります。慢性炎症の長期経過後であり、可動域の改善には時間を要しますが、痛みについて、特に夜間痛のような激しい痛みについては比較的早期から改善させることが可能です。治らないと諦めていた方のご参考にしていただければ幸いです。

五十肩の詳しい病状説明はこちら

 
 

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