肩:肩こり・四十肩・五十肩

【50代:女性】医師に生じた、ステロイド治療でも改善しなかった五十肩の痛み

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

精神科医師です。パソコン作業が増加したことをきっかけに4ヶ月前から左前腕~手首に痛みを生じるようになりました。手首の痛みは腱鞘炎であったのかほどなくして治ったものの、1ヶ月後には左肩~前腕の痛みとなり、治らないため整形外科を受診したところ、注射のうえ、鎮痛薬およびステロイド内服薬を処方されました。2週間内服を続けた後にリハビリを開始されましたが、2週間前から可動域が悪化し、夜間痛も辛いため重症化しているのではないかと不安になり当院を受診されました。

診察時の所見

左肩関節の高度の可動域制限(外転80度、外旋15度、内旋その他でも高度制限)を認めたほか、エコー検査では一部水が溜まっていたり、病的新生血管を反映した異常血流信号を認めたりしていました。一方、腱板などに明らかな組織損傷はみられずレントゲンでも異常ありませんでした。新型コロナウイルスワクチン接種後半年以上経過しており、ワクチン接種との因果関係もなさそうでした。以上より、五十肩(凍結肩)と診断し微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、複数箇所で病的新生血管(モヤモヤ血管)が濃染像として描出されました。前上腕回旋動脈造影では、早期相で上腕二頭筋長頭腱周囲(結節間溝)に、遅延相で腋窩嚢に一致して濃染像を認めました。烏口枝造影でも著明な濃染像を認め、旺盛な炎症を反映していました。難治の経過を辿っていた重症状態を反映しているとも言えます。治療後は画像上速やかに消失しました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療後2週間、左肩が楽になってきて特に夜間痛は大幅に改善されました。それに伴い上腕の痛みが軽くなった一方で、前腕の痛みはまだまだ残っていました。治療後1ヶ月半を過ぎた頃、痛みはほぼ消失しました。可動域制限はまだ強く残存していました。治療後2ヶ月半、可動域はかなり改善し(外転145度)日常生活には全く支障がなくなりました。残存する可動域制限についてはこのまま自然軽快が見込まれることより、仕事でご多忙ということもあり、終診としました。その後も再発することなく順調に経過されています。

五十肩の詳しい病状説明はこちら

 
 

関連記事