肩:肩こり・四十肩・五十肩

【40代:女性】糖尿病患者に生じた両側四十肩(四十肩、凍結肩、肩関節周囲炎、糖尿病)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

1年前から右肩が、半年前から左肩が痛むようになりました。特に右肩は夜間痛が酷く寝られない状態でした。両肩関節とも高度の可動域制限があり、腕を水平に挙げたり後ろに手を回したりすることがままならず、日常生活に大きな支障をきたしていました。

診察時の所見

レントゲンでは正面像では両肩とも異常がなかったものの、右肩関節は少し角度を振ると腱板領域における石灰が観察されました。エコー検査では、右棘上筋腱に石灰を認めたものの同部位には異常血流信号は認められず、その他の領域において両側とも腱板疎部領域や上腕二頭筋長頭腱周囲などに異常血流信号を認めました。一方、明らかな組織損傷は認められませんでした。可動域制限、夜間痛、経時的な症状の増悪といった特徴的な症状のほか、画像検査では組織損傷がない一方で強い炎症所見が認められたことより両側の凍結肩、いわゆる四十肩と診断しました。尚、右石灰沈着性腱板炎の可能性も否定できませんが、新鮮なものではなく陳旧性の石灰である可能性が考えられました。いずれにしてもこれらの肩関節周囲炎は微細動脈塞栓術が非常に有効な疾患ですので、治療を受けていただきました。
疼痛の持続による過度の緊張のために、以前からの首肩こりも悪化していたため併せて同部位の治療も行いました。

治療の所見

頸部における深頸動脈造影では、右側優位に両側で病的新生血管(モヤモヤ血管)が造影剤の濃染像として描出されました。肩関節でも随所にモヤモヤ血管を認めました。画像ではそれぞれ右烏口枝、左肩甲上動脈造影における濃染像を示しています。治療後は画像上速やかに消失しました。すべての責任血管を治療して終了しました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

非常に強い炎症であったためか、2-3日後から改善を実感できるようになり服の着脱が楽になりました。治療後1ヶ月半、まだ少し夜間痛が残っているものの、7割方の症状は改善しました。治療後2ヶ月半、左肩の痛みは消失しました。日常生活での痛みはほぼ気にならなくなったものの、可動域制限がまだ残存しており現在リハビリ加療中です。
両側とも肩関節周囲炎を患ってご相談いただく方は決して稀ではありません。何らかの炎症体質であることが多く、本症例では糖尿病が一因と考えられます。両側とも夜間痛や高度の可動域制限にさらされると、著しく日常生活に支障をきたすこととなります。こうした場合でも微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)は非常に有効であり、早期から大幅に痛みを改善させることが可能です。まず夜寝られるようになることで、心身の疲労がとれていきますし、目に見えて改善していくことがわかるので心理的な不安から解放されていきます。痛みがとれたあと、可動域制限の回復に一定の時間を要しますが、罹病期間が長い場合や糖尿病の方は完治までの時間が長くなる傾向があります(治らないということはありません)。できるだけ早く治療を受けられた方が早く回復できますので、糖尿病など何らかの炎症体質にかかわるような病気をお持ちの場合はより早期に治療を検討していただくことをおすすめします。

四十肩の詳しい病状説明はこちら

 
 

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