腰:椎間関節炎など 【70代:女性】2回の運動器カテーテル治療により改善した、原因不明と言われた腰から脚にかけての酷い痛み(腰椎終板炎、棘間靭帯炎、仙腸関節障害) 2023.07.05 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 元歯科医です。以前から鈍痛がありましたが、3ヶ月前から腰~脚にかけて酷い痛みを生じるようになりました。整形外科では多少の腰椎の変形はみられるが外科手術の適応はなく、特に原因となるような異常はないと言われました。冷えもあったことから婦人科、内科、脳外科受診を指示されました。しかし、いずれも特に異常はないと言われたため、接骨院に通っていました。施術に通うことで多少軽減されたものの、洗濯機の蓋を開けるだけで腰がギクッとなったりして心配になりました。実は、10年前から年に1回程度ギックリ腰を起こしていました。骨盤ベルトをしていると楽でした。入浴でも楽になりました。当院のことを知り受診されました。 診察時の所見 持参していただいたMRI画像では、脊柱管狭窄や神経根の圧迫所見などは認められませんでしたが、第3腰椎終板炎、第3/4、4/5棘間靭帯炎を認めました。これらのみでも腰痛の原因となりますが、身体診察をすすめるとさらに仙腸関節障害の合併も疑われました。仙腸関節障害では坐骨神経痛に類似した症状をきたすこともあります。いずれも微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)の良い適応であり、治療を受けていただきました。 治療の所見 腰椎性腰痛に関係する腰動脈、仙腸関節障害に関係する腸腰動脈および外側仙骨動脈のほか、下肢症状にも関係する閉鎖動脈等の治療を行いました。閉鎖動脈では、病的新生血管(モヤモヤ血管)が造影剤の濃染像として描出されました。治療後は、画像上速やかに消失しました。 治療後の経過 治療後2週間、起床後に冷汗が出るほどの痛みがありましたが、それがまず楽になりました。腰の痛みは半減しました。左側はほぼ痛みが無くなり、骨盤ベルトを巻かなくても歩けるようになりました。治療後1ヶ月、起き上がるときにつかまらなくても起き上がれるようになりました。治療後2ヶ月、やはり左側の痛みはないものの、右腰の一定の痛みが持続していました。治療後3ヶ月、残っていた痛みもだいぶ取れてきました。しかしながら、治療後5ヶ月時点でも右側に関しては一定の痛みが残っているため、追加治療をご希望されカテーテル治療を行いました。尚、ギックリ腰は初回治療後一度も起こっていませんでした。2回目の治療から2ヶ月、さらに症状は改善し、夜中にトイレに行く際のベッドからの立ち上がりと、起床時の痛みのみ残っていました。追加注射治療を行い、2回目治療から3ヶ月時点では追加治療が不要な状態となりました。今後は再発予防に努めていただくこととし、終診としました。MRIでは腰椎および周囲組織において明瞭に描出されるような炎症があり、その他画像では確認困難な仙腸関節障害などの原因も合併している状態でした。早期に大幅に改善した後、残存症状が完治するまで長期間を要しましたが、追加治療により完治しました。多くの場合、単回の治療で十分な改善を図れますが、腰痛や首肩こりの一部の症例では複数回の治療を要することがあります。初回で治療効果が得られる場合は、追加治療によりさらなる改善が期待できます。現状自費診療ですので、当院から積極的にはすすめづらいのですが、強力な治療オプションの一つです。 仙腸関節障害の詳しい病状説明はこちら 【70代:女性】躁うつ病患者に生じた、新型コロナウイルスワクチン接種後の肩の痛み (躁うつ病、SIRVA) 前の記事 【50代:女性】医師に生じた、ステロイド治療でも改善しなかった五十肩の痛み 次の記事