その他:帯状疱疹後など

【70代:女性】発症3ヶ月の腹部(難治部位の一つ)にできた帯状疱疹後神経痛に対するモヤモヤ血管治療(帯状疱疹後神経痛)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

3ヶ月前に帯状疱疹に罹患しました。腰~背中にも発疹ができていたのですが、左側の腹部に発疹ができて初めて気が付きました。医療機関でバラシクロビルを処方され服用しましたが、手遅れだったのか、特に臍~鳩尾(みぞおち)の腹部から脇にかけて常にチクチク、ヒリヒリと痛みが続きました。衣服が擦れると痛むため、ガーゼを挟むようにして過ごしていました。日中は疼くほどの痛みではないものの、特に夜に痛み、寝返りも辛い状態でした。ハーブの粉末を飲んでみましたが効き目がありませんでした。ブロック注射は5回受けましたが効果が無く、プレガバリンを服用しても痛みは変わらないものの、服用すると眠れるため継続していました。但し、長年の習慣から就寝時間は午前1時頃でした。何かに集中しているときは忘れられる時もあり、入浴中は楽でしたが、湯船から出ると冷えてヒリヒリするためシャワーのみとしていました。鬱にはなっていないものの、食欲が低下して体重は6kg落ちてしまいました

診察時の所見

発症3ヶ月の帯状疱疹後神経痛でした。発症当初の写真を確認すると、左腹部~背部に帯状に広範囲に強い発赤および、水疱形成後のびらんを認めました。激しい発疹であったことが一目瞭然でした。こうした場合、帯状疱疹後神経痛を合併して痛みが長引くリスクが高まることが知られています。一方、モヤモヤ血管がより強く関与していることが示唆されるため、当院としては積極的に治療適応を検討する要件の一つであると考えます。腹部は比較的難治となりやすい部位であること、食欲低下による過度の体重減少を伴っていることなど、治療抵抗要因もありましたが、何よりも発症3ヶ月という早期であることから治療による改善が期待できると判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

腹部では主要責任血管である下腹壁動脈などを治療した後、背部では肋間動脈(Th12)~腰動脈(L4)まで広く治療を行いました。下腹壁動脈で特に強い再現痛が見られました。
*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:治療する部位によって費用が異なりますのでこちらをご参照ください。
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療後2週間、まだ変化はなく夜間痛もありました。治療後1ヶ月半、プレガバリンが以前よりも良く効くようになっているものの、まだ大きく変化は感じませんでした。治療後2ヶ月半、腹部の痛みが緩和されてきました。側腹部はあまり変わらず、塊のようなものがある感覚がしていました。就寝時間を早めたり、食べるようにしたりしているものの、体重は戻ってこないということでした。治療後3ヶ月、改善が進み、側腹部の痛みも緩和されてきました。塊も薄らぎました。背中の痛みは消失しました。全体的には治療前に比べて8割~9割方の症状が改善しました。鎮痛薬についてもかかりつけ医から減量・中止を提案されているとのことでした。

3ヶ月の経過であまり気にならないレベルに回復しましたが、発症3ヶ月の帯状疱疹後神経痛としては改善に少し時間を要した印象です。部位が腹部であるということの他、急激な体重減少と、遅い就寝時間(午前1時)などがその要因と考えられます。痛みに対する抵抗力が減弱してしまうこと、そして回復力が十分発揮されないことがその理由です。体重はまだ戻っていませんが、就寝時間を少しずつ早めていただいたことで、それ以上に長引かなかった点は良かったと思います(22時までの就寝をおすすめしました)。どのような痛みであっても、睡眠は量、質とも大変重要です。

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