顔:頭痛など

【60代:女性】スポーツ事故後の30年以上の慢性頭痛・顔面に及ぶ痺れが2回のカテーテル治療で快復した実例(慢性頭痛、頸肩腕症候群、筋・筋膜性疼痛症候群、外傷後疼痛)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

30年以上前にテニスボールが後頭部に強打したことがきっかけです。以来、後頭部と側頭部の痛みが続き、整形外科、脳神経外科、神経内科の他、鍼灸院、整体などにも通いましたが、一時的に良くなることがあっても1ヶ月くらいで戻ってしまうため長年悩んできました。さらに5年前からは首肩の痛みや左腕の倦怠感、痺れ、震えも伴うようになりました。トリプタノールを2年くらい服用していた時期は症状が少し軽減されていたように思いましたが、閉塞隅角緑内障と診断されてからは服用を止めました。後頭部および側頭部に鈍痛が常にあり、何とも言えない嫌な感じ、ドーンと重くて痛い感じがしていました。3年前からは左顔面の痺れも伴うようになりました。めまい、耳鳴り、食いしばり、顎関節症などはありませんでした。入浴すると楽になりました。睡眠障害はなく、7時間近く眠ることができていました。少しでも症状が緩和できればと願い当院を受診されました。

診察時の所見

首の可動域は全てにおいて中等度の制限を認めました。肩関節は保たれていました。レントゲンでは比較的頸椎は保たれていたものの、頸椎椎間関節や肩甲骨周囲における圧痛は明瞭で、こりの程度は中等度に見られました。エコー検査では筋肉の性質や筋膜肥厚などの線維化所見、筋肉と筋肉の間の滑走性(悪いとぎこちなくなる)、呼吸性変動や血流分布などもチェックしますが、こちらも、いわゆるこりの所見としては中等症でした。脳や頸椎についてはこれまでもMRI検査で異常を指摘されていませんでしたが、左上肢神経症状があるもの、やはり頸椎症ではないようでした。筋肉および周囲組織の線維化などは明らかであり、いわゆる頸肩腕症候群に由来するものと考えられました。首肩こりだけでも、重症化すると可逆的な腕の痺れを伴うことがあります。慢性頭痛や、顔面の痺れについても筋筋膜性疼痛の要素を少なからずはらんでいます。重症度にはかなりの個人差がありますが、首肩こりとの合併はよく見られます。脳外科的な異常が否定されていますので、頭部・顔面に対しても運動器的アプローチを行うことが有力な治療選択肢となります。また、そもそも外傷後疼痛にはモヤモヤ血管が必ず関与しています。以上より、治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、首こりの主要責任血管である深頸動脈でモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。モヤモヤ血管が多くみられただけでなく、全体的に正常血管の発達も不良でした。重症所見の一つです。治療後モヤモヤ血管は画像上速やかに消失しました。肩こり部位の治療後、続いて頭部・顔面の治療を行いました。側頭部の主要責任血管である浅側頭動脈、顔面に関わる顔面動脈、顎動脈、顔面横動脈などの各血管を治療した後、最後に後頭部の主要責任血管である後頭動脈を造影しました。同部位はモヤモヤ血管が描出されやすい部位の一つですが、やはり豊富にモヤモヤ血管が濃染像として認められました。その他複数個所の治療を行い終了しました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:治療する部位によって費用が異なりますのでこちらをご参照ください。
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療後は腕の倦怠感がありましたが、数日でとれました。1週間くらいすると少し楽に感じましたが、まだ日により不調でした。治療後1ヶ月、首にいつも板が入っているような感覚がありましたが、それが改善されました。こめかみの痛みや頭痛はまだありました。治療後2ヶ月、首肩の痛みが軽減されてきましたが、後頭部とこめかみの辛い症状は残っていました。入浴後や、横になると楽になるため寝ることはできるのですが、朝方に痛みで起きることがありました。頸部の注射(ステロイドは使用せず)を追加すると、1週間程度は楽になりましたが、その後再燃しました。治療後3ヶ月が経とうとする頃から明確に痛みが和らいできて、後頭部、こめかみの痛みや張り、左顔面のしびれはあるものの、ひどい症状は緩和され、1週間鎮痛薬(トアラセット)を服用することなく過ごせるまでになりました。しかしながら、まだまだ残存症状があるため治療後4ヶ月時点で2回目の治療を行うこととなりました。治療後3週間で後頭部の痛みが和らいできて、その後も調子よく過ごせていましたが、痛みが良くなったためか、今度は側頭部~後頭部のしびれが強く感じられました。2回目治療から2ヶ月半、違和感はあるものの、痛み・痺れとも大幅に改善しました。痛みがゼロというわけではないものの、普通に過ごせるようになりました。トアラセットの内服も3週間で1度きりでした。顔面の痺れも、出ないことのほうが多くなりました。30年以上に及ぶ症状であり、神経症状も伴うほどの重症状態でしたが、2回の治療を経てここまで回復させることができました。現状でも満足されていますが、動脈注射治療などの簡易処置を含めて追加治療余地があるため、ご希望により対応していく予定です。

明確な神経障害ではなく、筋・筋膜、血流由来でもここまでの症状をきたすことがあります。症状は非常に長期間に及んでいましたが、幸い睡眠状態が保たれていましたので、何とか耐えてこられたのだと思います。ここまでの長期間で形成された病態だと、カテーテル治療を以てしても症状をいきなりゼロにすることは困難ですが、初回で半減、2回の治療により7-8割減少させることは現実的に可能です。神経損傷でなければ、ここまで取り戻すことが可能ですのでお悩みの方はご参考にしていただければと思います。

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