鴨井院長による動画解説
受診までの経過
2年前に交通事故に遭い、大きな怪我はなかったものの、事故後から首肩の凝りや痛み・しびれが続き精査したところ、骨に異常はありませんでした。むち打ち症(頸椎捻挫)の診断で、内服治療となりましたが薬はそれほど効果が無く止めました。その後は鍼治療や電気治療に通いましたが、1週間くらいは楽になるものの元に戻ってしまいました。動作にかかわらず常に一定の痛みがあり、体力や集中力も低下するほどでした。頭痛持ちではありませんでしたが、頭痛も伴うようになりました。眠りも浅くなりました。しびれは無くなったものの、特に前屈した時に肩こり症状が増悪しました。当院の治療を知り受診されました。
診察時の所見
首の可動域を確認すると、前屈は保たれていたものの、後屈や側屈・回旋動作で中等度以上の制限を認めました。レントゲンでは頸椎は保たれていた一方で、エコー検査では頸椎椎間関節近傍に異常血流増生を著明に認めました。比較的強い炎症状態であり、安静時でも常に症状があることと合致していました。診断は交通事故による頸椎捻挫後遺症です。モヤモヤ血管の強い関与は明らかでしたので、治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。
治療の所見
血管造影を行うと、頸椎捻挫後遺症の主要責任血管である深頸動脈にてモヤモヤ血管が濃染像として豊富に描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。再現痛も明瞭でした。その他複数箇所の治療を行い終了しました。
*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。
治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:治療する部位によって費用が異なりますのでこちらをご参照ください。
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。
治療後の経過
治療後2週間、頭痛や首の痛みが和らいできました。治療後1ヶ月半、さらに改善が進み、元の7-8割方の痛みが減少しました(2-3/10程度)。治療後3ヶ月、首の痛みが消失しました。頭痛と肩こりは少し残っているものの、睡眠はとれるようになりました。肩こりについては単回の治療で中々ゼロにはなりませんが、7割以上減れば相当楽になります。まずは首の痛みが無くなり何よりでした。残存症状については、追加カテーテル治療の効果が一番大きいですが、負担を軽減したり運動を取り入れたりなど日常生活の改善により解消していくことも可能です。交通事故後遺症は様々な形で現れますが、最も頻度が高いのが頸部の症状です。むち打ち症(頸椎捻挫後遺症)はモヤモヤ血管治療の良い適応ですので、お困りの方はメンタルを大きく損なう前にご相談いただければと思います。理不尽に奪われた日常生活を取り戻し、充実した日々を送れることを心より祈念いたします。


