その他:帯状疱疹後など

【40代:男性】座ると増悪する会陰部の灼熱感、5年に亘り悩まされた慢性前立腺炎(慢性前立腺炎)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

5年前から、下腹部や会陰部が痛むようになりました。痛みは常にあり、立っている時や寝ている時はそれほど痛くないものの、座って患部に圧がかかるときに、特に会陰部に痛みや不快感(灼熱感)がありました。入浴などで体が温まると大幅に緩和されました。長く患っていますが、症状には波があり、季節の変わり目などには悪化していました。泌尿器科で慢性前立腺炎と診断されましたが、実際に触診された際には強い痛みがありました。一方、肛門の痛みなどは無く、腰臀部痛もありませんでした。排尿時痛や残尿感などもありませんでした。

診察時の所見

前医の造影MRI検査でも前立腺における炎症所見を指摘されており、病的新生血管(モヤモヤ血管)に対する微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)の有効性が期待されました。罹病期間が長いことから治療が無効な可能性もあること、有効な場合でも単回の治療で全ての症状を完全に取ることは困難であることなどもご説明し、ご理解いただいたうえで治療を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、下膀胱動脈および閉鎖動脈にてモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。その他複数箇所の治療を行い終了しました。

治療後の経過

治療当日から、これまでとは異なるような良い感覚がしました。治療後1ヶ月、まだ座った時の会陰部の灼熱感はありましたが、全体的に少し楽に感じられるようになりました。その後はしばらくあまり変わりませんでしたが、2ヶ月半を過ぎた頃から急速に改善してきました。元の症状の8-9割程度改善し、この程度なら付き合っていけると思えるようになりました(1-2/10程度)。まだ完治には至っていませんが、5年以上持続していた不快感が大幅に改善されました。慢性前立腺炎は難しい痛みの一つです。中々、他人に相談しにくい症状であり、メンタルの不調を伴うことも少なくありません。罹病期間が短いほど治療効果を期待できますので、お悩みの方は長引かせない内にご相談いただければと思います。

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