その他:帯状疱疹後など 【20代:女性】反復性足首捻挫が原因で距骨骨軟骨損傷の手術を受けたが、残った痛みに対してモヤモヤ血管治療を行った症例(距骨骨軟骨損傷、反復性足首捻挫、関節鏡視下手術後) 2025.04.11 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 バレーボールをやってきて、右足首の繰り返す捻挫に悩んでいましたが、1年半ほど前から左足首が腫れてきて動きも悪くなってきたため整形外科を受診しました。MRI、レントゲン検査の結果、距骨骨軟骨損傷、足関節前方骨棘、足関節後方三角骨を認め、距骨骨軟骨損傷と診断されました。関節鏡視下手術により、骨軟骨損傷部の剥離軟骨除去、骨髄刺激および足関節前方骨棘切除、後方の遊離骨片摘出が行われました。手術により、距骨関節面は平滑になり(術前はかなりぎざぎざになっていた)、関節腫脹も退きました。リハビリを続けることで、術前にあった足関節の背屈制限などもだいぶ改善しましたが、脛骨内側骨膜の骨膜炎と思われる痛みが持続しており、痛みと硬さがとれずさらにその痛みが横に広がっているとのことで当院を受診されました。受診時点では手術後10ヶ月経過しており、バレーボールは休みながらプレーしているとのことでした。 診察時の所見 レントゲンでは、足関節は外科手術により整っていました。エコー検査では、低エコー領域や異常血流信号を伴う明らかな炎症所見を認めました。圧痛も明瞭でした。 治療の所見 血管造影を行うと、後脛骨動脈、腓骨動脈、前脛骨動脈のそれぞれで、患部に一致してモヤモヤ血管(病的新生血管)が濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。 治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管 治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態 治療費用:税込324,500円 主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。 治療後の経過 治療後3-4日は痛みがありましたが、その後改善してきました。治療後3週間、治療部の痛みはほぼ消失しました。圧痛も無くなりました。靴・インソールを整えることで再発予防に努めていただいています。捻挫を繰り返しているうちに、足関節に重大な損傷を抱えていました。足専門医による適切な手術が行われ、構造的な問題が解決されましたが、一定の炎症が残存することで痛みが持続していました。これに対して微細動脈塞栓術を追加することで炎症を鎮めて治癒に至りました。外科手術と、カテーテル治療の役割が異なる点が非常によくわかる症例でした。この方にとってはどちらの治療も必要であったわけです。カテーテル治療だけではおそらく限界があったと思われます。こうした事例には日常臨床で頻繁に遭遇します。将来的には外科手術とカテーテル治療を組み合わせることがベストであるというガイドラインが出てくるかもしれません。 【60代:女性】発症1ヶ月の左前胸部~背部に生じた帯状疱疹後神経痛に対するモヤモヤ血管治療(帯状疱疹後神経痛) 前の記事 【70代:男性】免疫抑制剤も効かない・・新型コロナウイルスワクチン接種後遺症/副反応によるリウマチに対するモヤモヤ血管治療(新型コロナウイルスワクチン接種後遺症/副反応、covid-19) 次の記事