股:変形性股関節症など 【40代:男性】座位で悪化する陰嚢部痛・・慢性前立腺炎に対するモヤモヤ血管治療(慢性前立腺炎) 2025.03.18 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 2-3年前に陰嚢に強い痛みが出ることがありました。泌尿器科で慢性前立腺炎と診断され、内服治療を受けましたが改善しませんでした。その後、右陰茎部や右大腿にも痛みが広がりました。陰茎部は特に勃起時に疼痛が増強しました。芍薬甘草湯が一時的に効くことがありました。常に痛いわけではなく、動いている時はあまり気になりませんでしたが、自宅でリラックスしていると、ズーンとした鈍い痛み・不快感に襲われました。硬い椅子に長く座っていると特に痛みますが、立位でもじっとしていれば痛んできました。排尿とは特に関係ありませんでした。当院の治療を知り受診されました。 *既往疾患;睡眠時無呼吸症候群あり 診察時の所見 造影MRIの結果、前立腺炎として矛盾せず一定の炎症をともなっていることも確認されました。治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対するカテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。 治療の所見 血管造影を行うと、下膀胱動脈にて前立腺部に一致してモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。明確な再現痛も確認されました。その他複数箇所の治療を行い終了しました。 *再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。 治療後の経過 治療後2週間、まず立位における症状が改善されてきました。大腿の症状も緩和されてきました。治療後1ヶ月、陰嚢部痛が改善してきましたが、やはり座位になると増悪しました。しかし、痛みと言うよりも重い感じに変わってきました。治療後3ヶ月、陰嚢部痛が緩和されたためか、股関節の内側の痛みが気になるようになりました。全体的には当初よりも間違いなく改善していることを実感できたため、治療後4ヶ月時点で2回目の治療をご希望され行いました。このときの血管造影では、前立腺領域におけるモヤモヤ血管は初回よりも明らかに減少していました。追加治療後1ヶ月、股関節の内側の痛み、陰嚢部痛とも明確に改善し、陰嚢に関しては違和感程度になりました。大腿痛は消失しました。その後は臀部が痛くなったりするなど、元々あった坐骨神経痛による他部位の痛みの方が気になっており外来通院治療中です。尚、睡眠時無呼吸症候群があるとモヤモヤ血管ができやすくなりますのでかかりつけ医にて併せて治療に取り組んでいただいています。慢性前立腺炎と診断される方でも、人により主たる痛みの部位は異なりますが、多くの方に共通するのは座位で悪化する点です。本症例では陰嚢部痛が主訴であり肛門周囲の痛みなどはありませんでした。やはり座位で最も痛みが増強されていました。2回の治療を経て違和感程度になるまで大幅に改善されました。他疾患に比べると、複数回の治療の意義が大きい疾患の一つです。 【50代:女性】発症3週間の帯状疱疹後神経痛に対するカテーテル治療 前の記事 【10代:男性】中学1年生に生じた膝のお皿の痛み、バスケットボールが原因の有痛性分裂膝蓋骨(有痛性分裂膝蓋骨、バスケットボール、スポーツ障害、成長期の痛み) 次の記事