肩:肩こり・四十肩・五十肩

【60代:女性】頸椎レーザー手術後も治らなかった左首肩の痛み(首肩こり、頸椎ヘルニア、顎関節症、筋緊張性頭痛、片頭痛)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

7年前から左頸部~肩の痛みがありました。脊椎ドックで軽度のC4/5頸椎椎間板ヘルニアを指摘され、6年前に頸椎レーザー手術を受けたところ、かえって痛みがひどくなってしまいました。特にじっとしているときが辛く、寝違えも頻繁に起こすようになりました。歯の食いしばりや顎関節症もありましたが、マウスピースをつけることで治りました。一方、5-6年前から飲酒をすると頭痛がするようになり、1年前くらいから慢性的に頭痛に悩まされるようになりました。片頭痛に筋緊張性頭痛が混在している状態でした。一連の痛みは、マッサージを受けたり入浴して体が温まったりなどすると緩和されました。その他、20歳代の頃からパニック障害があり、発作時には嘔気がしていました。ハイドロリリース注射を受けても1日しか効かず、鎮痛薬も無効であったため当院を受診されました。

診察時の所見

首を回す動作で痛みが誘発される他、可動域も高度に制限されていました。前後屈などその他の動きは保たれていました。こりは肩甲骨周囲よりも、頸部優位にみられました。頸椎椎間関節など頸部では圧痛が明瞭に確認できました。一方、いわゆる神経症状はなく、頸椎症は否定的でした。重症の首肩こり(左>>右)および、それらに伴う筋緊張性頭痛の合併と判断しモヤモヤ血管治療(運動器カテーテル治療)を受けていただきました。

治療の所見

首こりの主要責任血管である深頸動脈の血管造影を行うと、左優位にモヤモヤ血管が濃染像として豊富に描出されました。高位レベルにまで及んでおり、頭痛との因果関係が一層示唆されました。次に肩こりの主要責任血管である頸横動脈造影を行うと同様にモヤモヤ血管が描出されました。いずれも、治療後は画像上速やかに消失しました。

治療後の経過

治療後2週間、動かすと痛いところがあるもののだいぶ軽減されました。頭痛はまだ残っていました。治療後1ヶ月、首肩の痛みはそれほど感じなくなったものの、血管拍動性の頭痛が毎日あり市販薬で対処していました。注射後は劇的に改善しました(モヤモヤ血管を大幅に減らした後は注射が良く効くようになることが多いです)。カテーテル治療後に血行が大幅に改善することで、血管拍動性の頭痛が一時的に生じることがありますので、飲酒を控えていただくこと、水分をしっかり摂取していただくことなどアドバイスし様子を見ることにしました。その後、拍動性の頭痛や筋緊張による頭痛などは改善したものの、元々の片頭痛の痛みが出たりしていたため、通院中の頭痛外来にて月1回の注射(エムガルティ)を受けました。そして、治療後3ヶ月を過ぎる頃に残った片頭痛もとれてきました。勿論、エムガルティの効果があったのは間違いないですが、カテーテル治療により筋緊張性頭痛の要素を大幅に緩和できたことが有効であったと思います。治療後半年、頭痛・首肩こりの痛みとも全く無くなりました。普通に戻り、10年前と同じくらいの生活が送れているとのことでした。当初は首から肩の痛みが主訴でしたが、首肩こりが早期から改善したこともあり、治療後は関心が頭痛に移ってゆき、その対処に時間を要しました。筋緊張性頭痛に対してカテーテル治療は有効ですし、ほとんどの頭痛で筋緊張を伴っていますから治療意義は大きいのですが、純粋な片頭痛の改善には限界があります。残った痛みに対して、エムガルティの追加が有効でした。まだエムガルティ注射は続けておられますが、生活習慣を改善し自律神経のバランスを整えることでそれを止められる日もそう遠くなさそうです。

首肩こりの詳しい病状説明はこちら

 

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