その他:帯状疱疹後など

【70代:女性】劇的に改善!帯状疱疹後神経痛?40年間続いた火鉢を当てられたように焼けるような背中の痛み(帯状疱疹後神経痛、末梢神経痛)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

40年前から右の背中~腰にかけてピリピリした神経痛のような痛みが続いていました。ペインクリニックには何度も通い、帯状疱疹の注射治療や、ブロック注射なども受けましたが全く効果がありませんでした。長年の症状であり、体調により変動があるため1年間くらいそれほど痛くないようなときもありましたが、痛くなると火鉢を当てられたような、焼けるように耐え難い痛みとなっていました。呼吸をするたびに陣痛のような周期的な痛みに襲われていました。入浴で体が温まっても変化はない一方で、冷えると痛くなりました。肩の痛みや腰の痛みとは全く異なる痛みでした。脊椎のMRI検査は受けましたが、特に異常はありませんでした。精神科を紹介されたりもしましたが、通院はしませんでした。

診察時の所見

40年前からの症状であり、発症時の詳細は不明でしたが、症状の性状は帯状疱疹後神経痛に類似しており、末梢神経障害が疑われました。圧痛は明瞭であり、痛みの部位は移動せず、限局性に比較的激しい症状があることなどより、微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)による一定の改善効果が期待できると判断しました。非常に長期間、難治の状態で経過しており治療が無効である可能性、改善するとしても長期間を要する可能性があることなどもご了承いただいたうえで治療を受けていただきました。

治療の所見

こうした難治の症状については、首の治療が重要になってくることがあります。本症例では、実際に首肩こりの合併もありましたので、背部に加えて右頸部の治療も併せて行いました。右深頸動脈造影では病的新生血管(モヤモヤ血管)が濃染像として豊富に描出されました(写真)。治療後は画像上速やかに消失しました。次いで、患部に相当する領域に対して治療漏れのないよう、右肋間動脈を6枝に亘り広範囲に治療しました。再現痛(薬液投与に伴う普段の痛みが一定程度再現されること)を明瞭に確認し終了しました。

治療後の経過

治療後すぐから、背中~腰の、ピリピリする痛みや火鉢を当てられたように焼けるような痛みは無くなりました。一定の鈍痛に変わりました。肩こりはまだ残っていました。その後も順調に経過し、治療後半年時点では、全ての痛みではないが7割程度改善した(3/10程度の痛み)とのことでした。一定の肩こりもありますが、湿布を貼ったり横になったりすれば楽になる程度まで改善しました。家族からも『良くなったね』と言われるそうです。40年もの長く辛い痛みが治療直後から大幅に改善するとは、にわかには信じ難いですが、驚くほど効果がありました。この治療に長く携わっていると、このように思いがけず劇的な著効例に出会うことがあります。改めてカテーテル治療(微細動脈塞栓術)の素晴らしさを実感させられました。あきらめずに受診していただいて本当に良かったと思います。

帯状疱疹後神経痛の詳しい病状説明はこちら

 
 

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