胸:肋軟骨炎など

【50代:女性】度重なるストレスによりこじらせてしまった、5年間苦しんだ肋軟骨炎(肋軟骨炎、下行抑制系機能低下)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

5年前から週に1回くらい左の肋骨の痛みがありましたが、家族の不幸や介護などのストレスからうつを伴うようになり、1年前からはほとんど毎日痛むようになりました。日中はほとんど気にならないものの、明け方に痛みで目が覚めたり、寝返りをするたびに痛んだりするようになりました。びりっと痛みが走るものの、痛みはその瞬間だけでその後は重い感じが続くといった具合でした。内科や複数の整形外科、整体、カイロプラクティックなどに行きましたが改善しないということでご相談いただきました。

診察時の所見

左の11番目、12番目の肋骨・肋軟骨に一致して最も強く圧痛を認めましたが、前胸部だけでなく背中にも痛みを自覚するなど症状は非常に広範囲に及んでいました。疼痛に対する抵抗力が低下(下行抑制系機能低下)しているために実際の痛み信号以上に広範囲に痛みを感じている状態であることが示唆されました。一方、うつ状態や不安神経症があるものの、ひどい抑うつ状態に陥っているわけではなかったため、症状の改善に通常よりも時間を要する可能性はあるものの一定の治療効果が期待できると判断し微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を受けていただきました。

治療の所見

左前胸部(内胸動脈経由)、側胸部(外側胸動脈経由)、背部(肋間動脈経由)の治療をそれぞれ行いました。このうち、特に内胸動脈より薬液を投与した際に最も強い再現痛を認めました。必ずというわけではありませんが、炎症の強い部位ほど薬液投与の際の刺激を強く感じる傾向がありますので、治療の際の参考になります。正に、普段最も痛い部位に一番強い刺激を感じたようでした。
*再現痛は一定の熱い感じや軽度の痛みをあくまでも一時的に感じるものであり、苦痛に感じるような強い痛みではありません。

治療後の経過

治療後2週間で大幅に痛みは改善しました。痛みの範囲がかなり狭くなり、圧痛はほぼ消失しました。追加の注射なども行わず経過観察としました。その後しばらくは夜中にドーンと痛みがあり起きることもあったそうですが、治療後3ヶ月に差し掛かる頃にある日突然症状が軽くなり魔法のように楽になったと言われました。仕事もパート勤務ではなくフルタイム勤務に復帰できるようになりました。治療後6ヶ月、治療した部位の痛みは消失したものの、少し上の部分が痛いときがあるとのことでした。やはり、まだまだ一定の過敏さがとれるには時間を要するということが考えられました。日常生活に困るような痛みではないため様子を見たいと言われましたが、その後4ヶ月の経過でも特に問題なく過ごしておられます。尚、モヤモヤ血管を減らした後の注射はよく効くようになることが多いため、早期改善目的で必要に応じて追加注射を行うことがありますが、注射が苦手な方や非常に刺激に過敏な状態となっている場合は様子観察とすることもあります(余計な刺激をしない方が良い場合もあります)。本症例は正にそれに該当した症例でしたが、初回の治療のみで十分に快復されました。また、痛みに対する抵抗力を取り戻すには時間を要しますが、良い生活を続けることで6ヶ月~1年かけて徐々に取り戻していくことが可能です。

肋軟骨炎の詳しい病状説明はこちら

 
 

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