膝:変形性膝関節症など 【30代:男性】バスケットボールがきっかけで諦めたジャンパー膝(膝蓋腱炎)の症例 2020.06.13 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 2年前から、両膝のお皿の下に痛みが生じるようになりました。中学生の頃よりバスケットボールをやってきていて(今でも週に3回プレイ)、その他ウエイトトレーニングのやりすぎで痛めたとのことでした。整形外科では膝蓋腱炎と診断され5回ほど注射を受けましたが、一時的にはよくなるもののすぐにぶり返していました。階段の昇り降りも辛くなり、当院を受診されました。 診察時の所見 膝のお皿の下にある膝蓋腱に一致して著明な圧痛を認めました。 エコー 両側の膝蓋腱は腫れており、通常ではみられないような異常な血流信号が数多く確認されました(モヤモヤ血管を反映しています)。 MRI 膝蓋腱および膝蓋下脂肪体に一致して、炎症が白く描出されました(T2強調脂肪抑制画像)。膝蓋腱炎および膝蓋下脂肪体炎の診断です。 モヤモヤ血管との因果関係は明らかでしたので、手術を要するような大きな組織損傷がないことを確認したうえで、カテーテル治療を受けていただきました。 治療の所見 MRIで白く描出された部位に一致してモヤモヤ血管が多数認められました。非常に多かったため、繰り返しの塞栓を要しましたが治療により大幅にモヤモヤ血管が減りました。 治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管 治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態 治療費用:税込324,500円 主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。 治療後の経過 2週間後に痛みは半減、1ヶ月後には1/10程度まで改善しました。ところが、楽になったためバスケットボールの練習・試合を行ったところ、膝をグッと中に入れた瞬間にピキッと痛みが生じてしまいました。新たに半月板損傷も合併し、ご相談の結果2回目の治療を受けていただきました。これにより、2週間後には9割方、1ヶ月後には完全に痛みが消失し、いまでは階段昇降はもちろんのこと、軽いジョギングでも問題ないレベルまで回復しています。エコーでも異常血流は消失していました。 膝蓋腱炎は炎症の程度が非常に強いため、2回の治療を要することがありますが、まさにこの方はそうでした。その後はぶり返すことなく経過中です。 ジャンパー膝の詳しい病状説明はこちら 【70代:女性】老人介護施設入所中の高齢女性を悩ませ続けた仙腸関節障害による腰痛の実例 前の記事 【30代:男性】度重なる足の負担により悪化してしまった典型的なアキレス腱炎 次の記事