肩:肩こり・四十肩・五十肩

【50代:女性】1年以上悩まされた、石灰沈着性腱板炎による夜間痛を伴う右肩の痛み(石灰沈着性腱板炎、肩関節周囲炎)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

4年前から右肩に痛みがありましたが、1年前から増悪し、夜間痛も伴うようになりました。整形外科では石灰沈着性腱板炎と診断され、ヒアルロン酸注射、ステロイド注射、リハビリの他、針による石灰吸引も何度か試みましたが改善せず、夜眠れないほどに悪化してきました。当院の治療を知り受診されました。

診察時の所見

ひどい夜間痛がある割に、右肩関節の可動域は保たれていました。前述の整形外科通院治療の効果によるものと思われました。レントゲンでは腱板部に石灰沈着を認め、同部位をエコーで観察したところ、石灰部周囲にモヤモヤ血管(病的新生血管)を反映した異常血流信号を認めました。その他、上腕二頭筋長頭腱周囲や腱板粗部においても同様に炎症所見を認めました。首肩こりの訴えもありましたが、後頸部には項靭帯石灰沈着を認めました。治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、首こりの主要責任血管である深頸動脈にてモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。肩関節では、肩甲上動脈、胸肩峰動脈、烏口枝、後上腕動脈において同様にモヤモヤ血管が認められました。治療後は画像上速やかに消失しました。その他複数箇所の治療を行い終了しました。

治療後の経過

夜間痛は治療後すぐから消失し、寝られるようになりました。治療後2週間、動作時に上腕に痛みが出るほか、肩こりの痛みがまだ2か所に残っていましたが、全体的にはかなり改善してきました。治療後1ヶ月半、右上腕の痛みは消失しました。肩こり部位についてはデスクワークの際に痛む程度でした。その後肩への負担により痛みがぶり返したことがありましたが、注射加療のみで再び消失し、治療後4ヶ月時点で問題ないことを確認し終診となりました。

石灰沈着性腱板炎は、長期に経過していると石灰の器質化が進み、カテーテル治療により炎症を鎮めても吸収されることはなく残存します。ほとんどの場合、石灰が残っていても問題はありませんが、その大きさや分布によっては、インピンジメントの原因となることがあり、動作時痛が少し残ったり、周囲を刺激して新たな炎症を起こしたりすることがあります。ぶり返したのはインピンジメントによる可能性が高いです。刺激しないようにしている内に自然におさまることもありますが、インピンジメントの影響がしつこく疑われる場合は、外科的摘除が検討されます。保存的治療のみで完結させたい場合は、あまりに長期に放置しないよう、半年以内までにカテーテル治療を受けていただくことをおすすめします。

石灰沈着性腱板炎の詳細はこちら

 
 

関連記事