肩:肩こり・四十肩・五十肩

【40代:男性】つらい肩甲骨周りの痛みはこれで解決!困ったときのモヤモヤ血管治療(肩甲骨の痛み、肩甲骨周囲炎、筋・筋膜性疼痛症候群、首肩こり)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

4年前から左肩甲骨が痛むようになりました。徐々に増悪し、整形外科では同部位に石灰沈着を指摘されました。リハビリ治療の方針となりましたが、改善しませんでした。通勤で車を運転する時間が長いですが、運転中に特に痛みを感じました。入浴で血行が良くなると、その時だけは痛みが無くなりました。しびれはなく、食いしばりもありませんでしたが、こりに起因すると思われる慢性頭痛がありました。何か良い方法はないかと悩み、当院を受診されました。

診察時の所見

左肩甲骨周囲に圧痛がありました。首肩こりも中等度認められ、首の可動域は保たれていたものの、右回旋および側屈動作では右頸部に疼痛が誘発されました。エコー検査をすると、肩上方からの観察において、僧帽筋周囲の筋膜に明らかに左右差がありました。左では筋膜の肥厚および高エコー(白くみえる)、いわゆる線維化所見を認めました。レントゲンでは後頸部に石灰を認め、脊椎は頸椎および腰椎で直線化していました。以上より、左肩甲骨周囲炎、両側首肩こり(頸肩腕症候群)と診断しました。治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、首こりの主要責任血管である深頸動脈にてモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。続いて、肩こりならびに肩甲骨周囲の治療を重点的に行いました。写真は僧帽筋および肩甲骨内側に向かって灌流する頸横動脈造影を示しています。背側に関しては、深部であり、肺ともかぶることから、モヤモヤ血管が明瞭に描出されることはあまりありませんが、再現痛は明確でした。その他複数個所の治療を行い終了しました。
*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。

治療後の経過

治療後6日くらいから改善し、治療後3週間では全体的な痛みはかなり軽減し、ひどい痛みも半分以下となりました。全体的に痛みが緩和された分、痛みの部位がはっきりしてきました。その後しばらく横ばいでしたが、治療後1ヶ月半くらいからさらに改善し、日常生活ではほぼ支障ない程度となりました。治療後4ヶ月、まだ右頸部の痛みが強かった部位については一定程度痛みが残っているものの、左肩甲骨の痛みはほぼとれていることから追加治療を検討するほどではなく、スイミングを取り入れるなど運動により解消することとなり、終診としました。片側の肩甲骨周囲が痛むという方は時々おられます。多くの場合で、本症例のように首こりも伴っています。過剰なトレーニング、骨格、偏った身体の使い方など原因は様々ですが、生活習慣が原因になっていることが多いです。一朝一夕で形成されるものではなく、長い年月の積み重ねで起こりますので、一定以上の重症な状態になってくると中々何をやっても治らなくなってしまいます。日々のケア、マッサージ、鍼灸などでも良くならない、とにかく早く、根本的に解決したいという場合は、カテーテル治療をご検討いただくとよいと思います。

首肩こりの詳しい病状説明はこちら

 

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