肩:肩こり・四十肩・五十肩 【40代:女性】肩の痛みから不眠、鬱を伴うように・・重症首肩こりに対する運動器カテーテル治療(首肩こり、頸肩腕症候群、僧帽筋痛症) 2025.06.21 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 2年前に引っ越し作業をしたことをきっかけに左肩を痛めました。ブロック注射などを受けて少し緩和されていましたが、半年前から増悪してきました。可動域に問題はなく、動作に伴う痛みもありませんでしたが、左肩から肩甲骨にかけて、特に座っているとじわじわと痛みました。立位や歩行時にはそれほど痛みはないのですが、じっとしていると増悪しました。起床時が特にひどく、入浴で体が温まると楽になりますが、その後戻ってしまいます。睡眠障害もきたし、それに伴い症状がさらに悪くなるという悪循環でした。以前からコリに伴う頭痛はありましたが、それもひどくなりました。1ヶ月前からは左手の痺れも生じるようになりました。トラマール、タリージェ、ロキソニンなど服用してきましたが、トラマールは副作用で続けられず、タリージェは効果がなく止めました。ロキソニンは頭痛には効くものの、肩の痛みには無効でした。鬱に陥り、不眠と併せて精神科にも通院するようになりました。投薬により鬱については落ち着きましたが、痛みのため休職する日々が続いており、当院を受診されました。 診察時の所見 前医の頸椎MRI検査では、軽度の後弯や椎間板変性を認めたほかには異常は認められませんでした。首の可動域は比較的保たれていました。頸椎椎間関節や肩甲骨周囲の全てにおいて圧痛があり、こりの程度は高度でした。エコー検査をすると、頸椎椎間関節周囲にモヤモヤ血管を反映した異常血流信号を認めたほか、僧帽筋および周囲組織の線維化所見が目立ちました(線維化が進むと白く描出されます)。重症の首肩こり(頸肩腕症候群)が原因と判断し、病的新生血管(モヤモヤ血管)に対する微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を受けていただきました。 治療の所見 血管造影を行うと、首では深頸動脈、肩では肩甲上動脈にてモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。また、肩こりの主要責任血管である頸横動脈を治療した際には、肩甲骨における再現痛も認められました。その他複数個所の治療を行い終了しました。 *再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。 治療後の経過 治療当日にひどい頭痛がありましたが、治療直後にそれが改善されました。左肩については、治療後1週間くらいから改善してきました。治療後2週間、左手に荷物を持てるようになりました(以前はお茶碗を持つことも辛いほどでした)。痛みを感じる頻度が減りました。今までは座るとすぐに痛かったのですが、以前よりも座れるようになりました。運動にも取り組もうと思えるようになりました。明らかに表情が明るくなり、顔色まで良くなっていたのが、大変印象的でした。治療後1ヶ月半、さらに痛みが減り、コリを感じる程度に変わってきました。痛くてふさぎ込むことは無くなりました。治療後2ヶ月半、痛みはほとんど消失し、その分コリがよくわかるようになりました。寝入りが改善し、周囲の方からも顔色が良くなったと言われました。気持ちも前向きになれました。治療後3ヶ月半、順調に経過し、痛みは消失していましたが、一定のこりは残っていました。元々は仕事もばりばりとされるような精力的な方でしたが、鬱を伴うまでに首肩こりが重症化していました。終診時には覇気が戻り、初診時からは別人のように快復されました。本当に良かったと思います。残ったこりについては、追加で治療をすることもできますが、まずは運動を取り入れて解消していく予定です。 首肩こりの詳しい病状説明はこちら 【50代:男性】4年間悩まされた肛門痛・会陰部痛~慢性前立腺炎に対するモヤモヤ血管治療~(慢性前立腺炎) 前の記事 【60代:男性】4年経っても治らなかった胸から背中にかけての帯状疱疹後神経痛(帯状疱疹後神経痛) 次の記事