肩:肩こり・四十肩・五十肩

【50代:男性】治療を受けているのに、どんどん悪化する両側の五十肩(凍結肩) (五十肩、凍結肩)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

5ヶ月前から左肩が痛くなりました。整形外科では肩関節に炎症があると言われ、注射治療やリハビリを続けてきましたが、痛みはさらに悪化してきました。ついには夜間痛も生じるようになってきました。3ヶ月前から右肩も痛むようになってきました。

診察時の所見

左肩関節は、水平までしか腕を挙げられない、反対の肩に手を回すことはできない、後ろに手を回しても臀部に触れるのがやっとなどの強い可動域制限がありました(外転90度、外旋15度)。右肩関節の可動域は問題ありませんでした。レントゲンではいずれも異常ありませんでしたが、エコー検査をすると、腱板疎部近傍や、上腕二頭筋長頭腱周囲などにモヤモヤ血管を反映した異常血流信号が豊富に観察されました。いずれも、左肩関節に強くみられました。また、腱板には問題ありませんでした。診察所見、特徴的な症状の性状から両側の五十肩(凍結肩)と診断しました。モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)の適応疾患ですので、治療を受けていただきました。

治療の所見

両側とも肩関節を取り囲むように血管治療を行いました。血管造影では、特に肩甲上動脈、烏口枝などでモヤモヤ血管が濃染像として豊富に描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。

治療後の経過

治療後2日くらいから改善し、夜の痛みは消失しました。治療後2週間の再診時には、右肩の痛みはほぼ治癒、左肩は焼けるような痛みから鈍痛に変わり、痛みの程度も軽減されていました。非常に早期から改善し、日常生活に支障が無くなったため、その後は受診されていません。本症例のように、両側五十肩を患ってしまうことが稀にあります。両側とも可動域が極度に悪化すると本当に日常生活の動きが何もできなくなってしまい、生活の質を大きく損ねてしまいます。鬱状態にも陥ってしまいます。右肩まで夜間痛を伴う前に両側の治療を受けていただいて良かったと思います。純粋な五十肩は、運動器カテーテル治療により必ず治ると言える疾患です。一般的な治療でも中々治らない場合、とにかく早く治したい場合、夜間痛がひどく心理的にも悪化してきた場合、両側に生じてしまった場合などにはぜひご検討いただくとよいと思います。

五十肩の詳しい病状説明はこちら

 
 

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