膝:変形性膝関節症など 【10代:男性】中学1年生に生じた膝のお皿の痛み、バスケットボールが原因の有痛性分裂膝蓋骨(有痛性分裂膝蓋骨、バスケットボール、スポーツ障害、成長期の痛み) 2025.03.21 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 中学1年生です。小学6年生頃から左膝の痛みがありました。レントゲンを撮ったところ、膝のお皿が割れている、割れているから痛いのではなく筋肉が引っ張って炎症が起こっているので痛いと説明を受けていました。小学6年生の間は膝にサポーターをしていれば大丈夫でしたが、最近はバスケットボールの試合をすると立てなくなるほどの痛みが生じていました。バスケットボールはずっとしており、それが原因だとはわかっていましたが、痛みがあってもプレーを続けてきました。鍼治療や電気治療を受けましたが、一時的に良くなるだけで改善されないため、当院を受診されました。 診察時の所見 左膝蓋骨外側に局所性の圧痛を認めました。レントゲンでは左膝蓋骨分離像が明瞭に確認できました。その分離部位をエコーで観察すると、異常血流信号の増強を認めました。その他膝関節は保たれていました。有痛性分裂膝蓋骨と診断、炎症所見も明確でしたのでモヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。 治療の所見 外側上膝動脈造影を行うと、膝蓋骨分離部に一致してモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。側面像(右斜位像)でも確認できます。治療後は画像上速やかに消失しました。外側下膝動脈造影でも同部位にモヤモヤ血管が確認され、同様に治療を行いました。 治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管 治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態 治療費用:税込324,500円 主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。 治療後の経過 治療後3日くらいで一旦良くなったものの、軽く走ったり、シュート練習をしたりなどを2時間ほどすると痛みが生じその後も尾を引いていました。まず治すことが先決ですので、治療後2週間の再診時には、運動を控えていただくよう改めてお話しご理解いただきました。治療後1ヶ月半、痛みは消失しました。バスケットボールは加減せず通常どおり行っているが、痛みなく過ごせているとのことでした。非常に明るい表情でご報告いただいたのがとても印象的でした。エコー検査でも増強されていた異常血流信号は消失していました。その後も再燃することなく順調に経過されています。有痛性分裂膝蓋骨は10歳~15歳に多い成長期の膝の痛みの一つです。スポーツ活動における膝関節伸展機構の過剰な牽引ストレスが未熟な膝蓋骨にかかることで発症します。分裂しているから痛いわけではなく、炎症を伴うことで痛みが生じます。保存的治療で改善しない場合、外科手術治療の対象ともなりますが、炎症に対して非常に有効なのがこのモヤモヤ血管治療です。身体の負担がなく、早期にスポーツ復帰することが可能です。但し、不安定な膝蓋骨が成長に伴い安定化するまでは無理は禁物です。痛みが取れた後も、楽しく続けられるよう、身体と相談しながら慎重にプレーしていただきたいと思います。 【40代:男性】座位で悪化する陰嚢部痛・・慢性前立腺炎に対するモヤモヤ血管治療(慢性前立腺炎) 前の記事 【70代:男性】身体の硬さが元凶、12年続いた腰痛がモヤモヤ血管治療で劇的に改善(筋 ・筋膜性疼痛症候群、仙腸関節障害) 次の記事
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