肘:テニス肘・ゴルフ肘など

【50代:男性】複数回の体外衝撃波・ステロイド注射・PRP療法・動脈注射療法(簡易微細動脈塞栓術)・プロロセラピーが無効でも、運動器カテーテル治療が奏功したテニス肘の症例(テニス肘、上腕骨外側上顆炎、PRP療法・動脈注射療法無効)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

1年半前から業務やゴルフがきっかけで、両肘が痛むようになりました。整形外科では上腕骨外側上顆炎と診断され、体外衝撃波治療を受けましたが改善しないため、ステロイド注射を受けましたが、あまりにも痛みが軽減されなかったため接骨院でのリハビリ等の治療を継続して様子を見てきました。その後、PRP療法を左肘だけに受けてみて改善の兆しがあれば右肘にも受ける予定でしたが、やはり全く改善されませんでした。その後、肘の動脈注射治療(動注治療)があることを知り、他院で1ヶ月毎の2回に亘り両肘に治療を受けましたが、効果がありませんでした。そこで、新たにプロロセラピー(ブドウ糖による注射療法)を提案され受けましたが、やはり痛みは改善しませんでした。ここ1年間は、業務やスポーツ等で肘に負担がかかるようなことはしていないにもかかわらず、何もしていなくても痛みや違和感が常にある状態でした。何とか痛みが半分程度にでもよくなってほしいと願い、当院を受診されました。

診察時の所見

身体所見は、いわゆる典型的なテニス肘(上腕骨外側上顆炎)でしたが、これまで詳細なエコー検査は受けていないとのことでしたので、重症度評価のためエコー検査を行いました。一定の腱腫脹のほか、特に左側の外側上顆における腱付着部周囲では異常血流信号が旺盛に認められました。血流波形も異常であり、重症状態でした。一方、組織の変性・損傷は中等度以下であり、難治性の外側上顆炎としては再発リスクはそれほど高くないと判断されました。難治の経過から治療効果に懸念があったのですが、当院としては良く経験する症例の一つであり、自信を持って微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)を受けていただくこととしました。

治療の所見

両肘の治療を行いました。特に左側の橈側半回動脈の血管造影においてモヤモヤ血管(病的新生血管)が濃染像として豊富に描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態
治療費用:税込324,500円
主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。

治療後の経過

治療後2週間くらいから改善してきて、3週間時点では半分程度まで症状が改善しました。ゴルフクラブを持ち上げられるようになり、『もっと早く受ければよかった』と言われました。ゴルフができるようになりたいと希望がありましたが、練習についてはもう1か月間控えていただくようお話ししました。治療後2ヶ月、まだ痛みがゼロになったわけではないもののだいぶ楽になり、日によって違和感や軽度の鈍痛がある程度になりました。腱付着部への負荷テストは陰性となり圧痛も消失しました。エコー検査では腫脹が減少し、異常血流信号は完全に消失しました。経過良好でしたが、もう1ヶ月経過観察することとしました。治療後3ヶ月、同様に負荷テストやエコー検査では異常なく、テニス肘についてはほぼ完治していました。痛みはなく違和感があるとのことでしたが、筋・筋膜由来の症状と考えてハイドロリリース注射を追加しました。治療後半年、違和感はあるものの、日常生活では特に支障なく過ごせているとのことでした。幸い再発することなく経過しておられます。

対外衝撃波、ステロイド注射、PRP療法、動注療法(簡易微細動脈塞栓術)を複数回受けてきたにもかかわらず、一時的な改善すら得られなかったという医療機関泣かせの大変難しい痛みでしたが、カテーテル治療によりいとも簡単に改善しました。改めて、運動器カテーテル治療の有効性の高さに驚かされました。まだ、これらの治療方法の科学的な比較試験などはなされておりませんが、こうした事実の積み重ねから最も有効性が高いと言っても過言ではないと思います。これから科学的にも証明されていくことが期待されます。
当院では、ステロイド注射、PRP療法、動脈注射療法、運動器カテーテル治療のいずれも
ご提供可能ですが、症状の程度や画像所見(エコー検査は非常に重要です)、その方の治療後の目的(スポーツ復帰etc.) などを考慮して最適の治療方法をご提案しております。お悩みの方はお気軽にご相談ください。

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