その他:帯状疱疹後など

【60代:女性】発症2ヶ月の帯状疱疹後神経痛(鳩尾~乳房下~背中の痛み)に対するモヤモヤ血管治療(帯状疱疹後神経痛)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

2ヶ月前に、鳩尾(みぞおち)から乳房の下、背中にかけて水疱と広範囲の発赤を伴うような発疹ができました。診断は帯状疱疹で、抗ウイルス薬の内服治療を1週間受けました。しかし、その後神経痛を合併し、四六時中ヒリヒリ、チクチクした痛みに襲われるようになりました。ロキソニンやトラマドール75mg/日、プレガバリン300mg/日内服のほか、神経ブロック注射を複数回受けましたが、少しましになる程度で明け方には痛みで目が覚めるような状態が続いていました。背中側の痛みはおさまってきたものの、残りの痛みが2ヶ月経っても変わらず、早く治したいという希望から当院を受診されました。

診察時の所見

帯状疱疹後神経痛の治療効果を探るにあたり、当院では痛みの性質や患者背景を重視しています。痛みは常にあり、当初は入浴で緩和されていたのもの、受診時には入浴でも変わらなくなっていました。睡眠時間は5時間程度、鬱の合併はなく精神科通院歴はありませんでした。急激な体重変化もありませんでした。アロディニアはみられず、皮膚の性状は悪くありませんでした。発症2ヶ月であること、当初の発疹が比較的激しかったことより治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。背中は緩和傾向にあり同部位を治療するかどうか少し悩んでおられましたが、当初の発疹の激しさを考慮して併せて治療することをおすすめしました。もちろん、無症状であれば不要なのですが、最も痛い部位が治ると次に痛い部位が以前よりも強く感じられることあります。原因が明確で治療意義が十分あると考えられる場合は、やり残しのないように治療することを原則としています。

治療の所見

帯状疱疹後神経痛はモヤモヤ血管が描出されやすい疾患ではありませんので、通常、モヤモヤ血管を描出するためのDSA撮像という特殊な撮影条件で撮影することはありません。解剖学的な知識、および再現痛をたよりに治療を進めていきます。写真では、前胸部の主要責任血管である内胸動脈、脇から背中にかけて重要になってくる胸背動脈、および肋間動脈の血管造影画像を示しています。それぞれ再現痛が認められました。治療のやり残しがないよう、必要十分な範囲を治療して終了しました。
*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。

治療後の経過

治療後2週間、痛みの質が変わり、チクチクではなく、『さするとましになるような痛み』になりました。術前、背中に1枚皮膚を載せたような感覚がありましたが、それがとれました。あまり痛くない日もできるようになりました。鎮痛薬も減量していました。治療後1ヶ月半、8割程度の痛みは解消され、プレガバリンは75mg/日に減量、トラマドールは中止することができました。家事もほぼ100%元通りにできるようになりました。仕事中は忘れているくらいでした。まだ、背中にじんわりとした痛みがあるのと、乳房下の一部の痛みが残っていました。その後、思い切って痛み止めをやめてみましたが特にぶり返すことはありませんでした。治療後3ヶ月、さらに改善し、およそ9割の痛みが改善しました(1-1.5/10程度)痛みというよりも、鳩尾の横やその背中側が冷たい感じがするとのことでした。残りの症状が完治するにはもう少し時間がかかると思いますが、ここまでくれば安心です。

発症2ヶ月の帯状疱疹後神経痛でした。当初の発疹が激しいと、慢性痛に移行し、難治の経過を辿るリスクが高まります。一方、そうした強い炎症が起こった後ほど、カテーテル治療は強力に効果を発揮します。該当する方は積極的にご検討いただくとよいと思います。難治性疼痛の一つであり、長期経過するほど効果が減弱しますので、当院では発症3ヶ月以内の治療をおすすめしています。

帯状疱疹後神経痛の詳細はこちら

 
 

関連記事