その他:帯状疱疹後など

【70代:男性】頭痛、こめかみ・眉上の痛み、耳鳴り~頭部顔面の帯状疱疹後遺症に対するモヤモヤ血管治療(帯状疱疹後遺症)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

10ヶ月前に帯状疱疹に罹患しました。左頭部に発疹と水疱が1か所できたほか、こめかみ、眉上が赤く腫れました。抗ウイルス薬内服の後、鎮痛剤内服などの標準的な治療を受けました。皮膚表面の痛みはさほど気にならず、深いところに痛みを感じていました。何よりも、
耳鳴りと、最近になり生じるようになったひどい頭痛に悩まされていました。耳鼻科では内リンパ水腫と診断されました。症状は常にあるものの、眠ると気にならなくなるため眠ることはできました。当院の治療を知り、2ヶ月前に初診となりました。

診察時の所見

典型的な帯状疱疹後神経痛とは異なる症状でした。頭痛やこめかみの痛み、皮膚の深部に感じる痛みについては改善が期待できるものの、耳鳴りの改善は難しいと思われました。以上について十分ご説明しご理解いただいたうえで、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただくこととなりました。しかしながら、治療リスクについて思い悩まれていたため、初診時からさらに2ヶ月経過してからの治療となりました(治療時点が発症10ヶ月)。

治療の所見

当該部位の治療を行うと、特にこめかみで再現痛を認めました。写真は、顎動脈と浅側頭動脈の分岐部を示しています。耳に関する血管はこの近傍から複数に分かれて分枝します。以上、複数個所の治療を行い終了しました。術前に治療リスクを非常にご心配されている方でしたので、参考までに術後のコメントを記載します。『非常に心配だったので、問題なくスムーズに終わりほっとした。事も無げに終わったので驚いた。これなら、また受けても良いと思える』とのことでした。頭部・顔面の治療となるとご不安な方は多いと思いますが、十分な経験を有する医師が適切に手技を行えば治療リスクは最小限に抑えられるかと思います。しかしながら、不安を抱えたままで治療を受けることは望ましくありません。個別のリスクについては担当医と十分に相談し不安を解消したうえで、治療を受けてください。

*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。特に帯状疱疹後神経痛は、モヤモヤ血管が描出されにくい疾患であり、こうした再現痛の確認は非常に重要です。

治療後の経過

治療後3週間、特に変化はありませんでした。治療後1ヶ月半、やはり大きく変わりはないものの、気分的には改善したとのことでした。こめかみは押さなければ痛まなくなり、服薬も減量できましたが、耳鳴りやそれに付随する症状は変化がありませんでした。治療後3ヶ月、痛みについてはほぼ消失しました。こめかみや眉上の深いところの痛みが無くなり、頭痛も改善しました。耳鳴りだけは変化がありませんでしたが、痛みだけでも取れてよかった、治療を受けて良かった、ありがたいと言われました。

本症例は、帯状疱疹後神経痛としては非典型的でした。微細動脈塞栓術(カテーテル治療)は本来痛みに対して有効な治療であり、経験的にも耳鳴りの改善は困難なことが多いです。経過としては想定内であり、事前に十分ご説明しご理解いただいていましたので、痛みが改善されたことについてご満足いただけましたが、耳鳴りについては引き続き耳鼻科にて通院の予定です。帯状疱疹は様々な合併症を引き起こす厄介な疾患の一つです。

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