その他:帯状疱疹後など 【90代:女性】ここにできたら要注意!超高齢者に生じた頭部・顔面の帯状疱疹後神経痛(発症1ヶ月) (帯状疱疹後神経痛) 2025.09.16 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 1ヶ月前に右顔面および頭部の帯状疱疹にかかりました。初めは頭部にポツっと一つ発疹ができ、その後右目の瞼が赤く水疱瘡のようになりました。アメナリーフ(抗ウイルス薬)を1週間服用しましたが、その後痒みから痛みに変わり、タリージェ(鎮痛薬)を処方されました。しかし効果はなく、ズキズキするような痛みが常にあり髪の毛を手で触れただけでも痛みがありました。夜は痛みで何回も目が覚めてしまい、寝不足のためお昼寝をするようになりました。痛みで食欲が低下して食べられなくなり、体重が2kg減りました。これまでは、家族から見ても活動的でしたが、発症してからは一歩も外に出ることなく、こたつに入っているようになりました。テレビも見ていられなくなってしまいました。痛みを忘れられる時間はありませんでしたが、入浴すると少しだけ楽にはなりました。頭部・顔面の帯状疱疹後神経痛は治りにくいと聞いていましたが、このままでは寝たきりにもなりかねないため、当院を受診されました。 診察時の所見 罹患部位が頭部・顔面であり、90歳代と高齢であることからは治療の有効性が懸念されるところですが、発症1ヶ月以内の早期に受診していただけましたので、治療による改善が十分期待されました。治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。 治療の所見 頭蓋表層に分布する浅側頭動脈、顔面に分布する顎動脈、顔面動脈などから治療を行いました。それぞれ再現痛を認めました。その他複数個所の治療を行い終了しました。 *再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。 治療後の経過 治療当日の夜からすごく楽になり、嘘みたいと喜んでいました。1週間くらいで夜も良く眠れるようになったのですが、雪に見舞われて急激に寒くなった折に痛みが再燃しました。それでも当初の半分程度でした。治療後1ヶ月半、さらに改善が進みました。食欲が戻り、テレビも見られるようになりました。だいぶ活動的になってきました。頬や瞼がまだ少しピリピリするものの、7割方の症状が改善しました(3/10程度)。治療後3ヶ月、頭の痛みは消失しました。目の周りや頬の痛みが少しあるものの、ほとんど痛みなく過ごせることもありました。天気の悪い日は痛くなりますが、それでも3/10程度でした(全体的な評価としては、0-3/10程度)。活動的に過ごせているとのことでした。残存症状については少し長く時間をかけて解消されていくことが予想されます。 前述のように、頭部・顔面というより治りにくい罹患部位、超高齢ということを考慮すると非常に良好な経過でした。強い炎症を反映して、治療後すぐから改善が見られました。こじらせると日常生活が大きく破綻してしまいますので、本当に良かったと思います。とにかく、発症早期に治療を受けていただけたことが、良好な結果が得られた最大の要因です。もう3ヶ月でも遅れていれば結果は大きく異なっていたかもしれません。ご遠方から来院するだけでも大変だったことと思いますが、食欲低下、体重減少、睡眠障害など難治に陥る危険な徴候が重なってきた場合には要注意ですので、ご家族が後押しをして治療を決断できたことはなによりでした。前向きな気持ちで、まだまだお元気に過ごしていただけることと思います。 帯状疱疹後神経痛の詳しい病状説明はこちら 【40代:女性】9ヶ月苦しんだ四十肩の痛みが2週間でほぼ消失・・四十肩後遺症のモヤモヤ血管治療(四十肩、凍結肩、肩関節周囲炎) 前の記事 【80代:女性】新型コロナウイルス感染を契機に悪化した変形性腰椎症による腰痛/坐骨神経痛(新型コロナウイルス感染、変形性腰椎症、腰痛、坐骨神経痛) 次の記事