股:変形性股関節症など 【50代:男性】4年間悩まされた肛門痛・会陰部痛~慢性前立腺炎に対するモヤモヤ血管治療~(慢性前立腺炎) 2025.06.18 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 4年前から、特にきっかけなく、肛門と会陰部がチクチク・ヒリヒリするようになりました。痺れているように感じることもありました。泌尿器科では慢性前立腺炎と診断され、投薬治療を受けましたが、改善見られず、当院を受診されました。4年の間、特に症状が増悪するわけではなく、同じ程度の症状が治らず持続していました。精査の結果、痔疾は否定されていました。 診察時の所見 造影MRI検査をすると、dynamic造影で早期相から前立腺がまだらに造影され、その造影効果が遷延されました。強い炎症ではありませんが、中等度以下の炎症の存在は明らかになりました。前立腺腫大も認められました。長期間経過していましたが、鬱の合併はなく、体重減少なく、睡眠も十分とれているなど一定の痛みに対する抵抗力は保持されていることから、治療による症状の改善が期待されましたので、病的新生血管(モヤモヤ血管)に対する微細動脈塞栓術(カテーテル治療)を受けていただきました。 治療の所見 血管造影を行うと、下膀胱動脈にてモヤモヤ血管が濃染像として豊富に描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。また、このとき会陰部に再現痛も認められました。肛門に関係する内陰部動脈の造影では、元々正常でもモヤモヤ血管のようにある程度濃染 されるため異常との区別がつきにくいのですが、やはり治療時には肛門に再現痛が明確に認められました。その他複数箇所の治療を行い終了しました。 *再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。 治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管 治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態 治療費用:税込324,500円〜357,500円 主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。 治療後の経過 治療当日は、一時的に症状が強くなったりしましたが、2週間後には多少軽くなってきたように感じました。治療後1ヶ月、元の症状の半分以下になり、日常生活での支障は減ってきました。しかしながら、症状には波があり、まだ残った症状がかなり気になる状態でした。治療後2ヶ月、大幅に改善してきて、元の状態の9割程度改善しました(治療前を10としたときに1/10程度)。慢性前立腺炎は複数回治療をした方が良い場合がありますが、本症例では単回の治療でも大幅に改善させることができました。4年間という長期の罹病期間でしたが、改善されて何よりでした。 【80代:男性】モヤモヤ血管治療が著効した発症1年の臀部から大腿の帯状疱疹後神経痛 (帯状疱疹後神経痛) 前の記事 【40代:女性】肩の痛みから不眠、鬱を伴うように・・重症首肩こりに対する運動器カテーテル治療(首肩こり、頸肩腕症候群、僧帽筋痛症) 次の記事