肩:肩こり・四十肩・五十肩 【50代:男性】両肩の広範腱板断裂に上腕二頭筋長頭腱の部分断裂まで・・大きな組織損傷をともなう痛み。切らずに治せる⁉ 2021.07.16 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 2年前から右肩が痛むようになり整形外科受診したところ、MRIで右肩腱板断裂と診断されました。さらに、3ヶ月前頃から左肩も痛むようになり上腕二頭筋部分断裂を指摘されました。年齢から外科手術もすすめられず、それぞれ注射および投薬のうえリハビリを続けてきましたが良くならないため当院を受診されました。 診察時の所見 痛みは左肩の方が強く、夜間痛もありました。両肩とも、両腕を水平に上げられないほどの高度の可動域制限(外転60度)を認めたほか、首にも中等度の可動域制限がありました。エコー検査では、上腕二頭筋長頭腱(LHB)周囲の血流増生や、肩甲下筋腱(SSC)の広範断裂および損傷部周囲の異常血流増生などが認められ、損傷および炎症が大変広範囲に及んでいることが分かりました(写真⑭)。首肩こりも合併しており、両側の肩関節と併せて運動器カテーテル治療(運動器EVT)を行いました。 治療の所見 血管造影を行ったところ、腱板断裂部周囲に広範にモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。 治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管 治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態 治療費用:税込324,500円 主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。 治療後の経過 2週間で右肩は痛み・可動域ともかなり改善してきました。1ヶ月を過ぎる頃には左肩の痛みも大幅に改善し驚かれていました。3ヶ月時点で可動域をチェックしたところ、左肩がぎりぎりバンザイができないくらい(外転170度)で、他すべての可動域が快復していました。元々の腱板断裂が広範であることや上腕二頭筋長頭腱の部分断裂まで合併している状態でしたので、一定の可動域制限が残ることも考えられましたが、特別なリハビリを要することなく9割方改善していました。まだ一定の動作時には痛みが出るものの、再発なく良好に経過しておられます。 腱板疾患の詳しい病状説明はこちら 【70代:男性】足底筋膜炎に対する外科手術(鏡視下足底腱膜剥離術)後の後遺症(手術後の疼痛)の1例 前の記事 【60代:男性】登山家に生じた、内側側副靭帯および半月板損傷によるしつこい膝の痛み 次の記事