肩:肩こり・四十肩・五十肩

【50代:女性】治療当日からぐっすり眠れるように・・重症五十肩に対するカテーテル治療(五十肩、四十肩後遺症、凍結肩、滑液包炎、肩関節周囲炎)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

10ヶ月前から左肩が少し痛むと思っていましたが、2ヶ月前から激痛に変わり、夜も痛みで眠れなくなってしまいました。MRI検査では、肩に水が溜まっていて白くなっているところがあると言われました。ステロイド注射やヒアルロン酸注射を受けてきましたが、良くならないため当院を受診しました。尚、右肩は以前、四十肩になったことがありましたが、数日前からは右肩も痛むようになりました。

診察時の所見

左肩関節の可動域は、屈曲45度、外転45度、外旋45度、反対の肩に手を回すことはできない、後ろに手を回す動作(結帯動作)では臀部に触れるのがやっとなど、高度に制限されていました。レントゲンでは肩甲棘を認めましたが関節腔は保たれていました。エコー検査を行うと、左肩関節前方からの観察において、モヤモヤ血管を反映した異常血流信号を認めたほか、上腕二頭筋長頭腱水腫ならびに滑液包水腫を認めました。非常に旺盛な炎症が示唆されました。さらに右肩関節においても、既に強い炎症が起こっていることが分かりました。滑液包水腫はむしろ右肩関節において多量に見られており、このままでは左肩と同様に
症状が酷くなることが懸念されました。いずれも腱板などの組織損傷は見られず、両側の凍結肩による肩関節周囲炎(左は五十肩、右は四十肩後遺症も含めた肩関節周囲炎)と診断しました。治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、肩甲上動脈、烏口枝にてモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。その他複数箇所の治療を行い終了しました。治療時には一定の再現痛が見られるのですが、強い炎症を反映して通常よりも痛みを強く感じておられました。
*再現痛とは、薬液投与時に普段の痛みが一定程度再現される現象です。責任血管の同定のための参考とします。

治療後の経過

治療直後から症状が改善しました。夜久しぶりにぐっすりと眠れて、朝まで起きることがなかったことにびっくりされたそうです。治療後2週間の再診時の第一声は、明るい表情で『信じられない』でした。まだ衣服の着脱では少し支障がありました。治療後1ヶ月では元の症状の6-7割程度改善し(元の症状を10としたときに3-4/10程度)、エコー検査では、右肩関節の滑液包水腫が減少してきました。その後、しばらく受診が途絶え、治療後3ヶ月半では左肩関節の水腫は消失、痛みがさらに軽減し、腕も挙げられるようになっていたものの、労働作業を伴うお仕事のためか、元々は軽かった右肩の痛みの方が強くなっていました。エコー検査では、右肩関節の滑液包水腫が少し増悪していました。出来るだけ仕事の負担を減らしていいただくようお話し、注射加療にて様子を見ることとしました。治療後4ヶ月、幸い治療が奏功し、右肩関節の痛みは劇的に改善、エコー上の水腫もついに完全に消失しました。治療後5ヶ月、両肩とも痛みは消失し、可動域もほぼ全快していました。終診となりました。
通常、凍結肩でこれほどの滑液包水腫を伴うことはありません。非常に炎症が強い症例でしたが、当初の治療改善は非常に早期に訪れました。モヤモヤ血管の治療は、炎症が強いほど早期に治療効果を実感する傾向がありますが、まさにその典型でした。しかし、労働作業に従事され、特に利き腕を酷使していたことにより、元々は程度の軽かった右肩関節の痛みが中々良くならず、一時的には増悪もみられるほどでした。追加の治療も検討しなければならないか懸念されましたが、幸い、注射加療および安静にて速やかに消失しました。実は、カテーテル治療後は注射治療もよく効くようになるのです。ここまでくればもう安心です。腱板などの組織損傷はみられませんので、再発リスクも低いです。しかしながら、労働作業の継続に加えて、今後は加齢に伴う腱板断裂を合併してくる可能性もありますので、上肢の酷使には気を付けていただくようお話しました。

五十肩の詳しい病状説明はこちら

 
 

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