肩:肩こり・四十肩・五十肩 【40代:女性】脳外科的には問題なし、重症の首肩こりから左半身の痺れを合併した症例 (首肩こり) 2025.04.01 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 数年前から左肩および腕の痛みがありました。一定の動作で痛みが出るような状態でしたが、1週間前から動かさなくても常に痺れをかんじるようになり、ついにはその痺れが左半身すべてに生じるようになりました。脳外科を受診したところ、脳梗塞などの脳疾患は否定されました。以前から首こりや頭痛はありました。ロキソニンを服用すると一定程度は改善しました。食いしばりはありませんでしたが、起床時に顎が疲れていることはありました。当院の治療を知り受診されました。 診察時の所見 首の可動域は軽度制限がある程度で概ね保たれていました。比較的こりは強く、頸椎椎間関節や肩甲骨周囲には一定の圧痛を認めました。痺れについて詳細に確認すると、左顔面は一部三叉神経第2枝領域、左上腕~尺側(小指側)~左小指、左下肢外側に分布していました。エコー検査では、左肩関節に腱板石灰を認めましたが、炎症所見は伴っておらず陳旧性のものと考えられました。レントゲンでは、頸椎は十分保たれており、積極的に頸椎症を疑うような画像ではありませんでした。症状としては、頸椎症性神経根症の様相を呈していましたが、首肩こりを合併している状態と考えられました。少なくとも外科手術を要するような高度の頸椎症である可能性は否定的でした。首肩こりも重症の場合は、同様の神経症状を呈することがありますが、まさにそうした状態に適合すると考えられました。モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)の適応と判断し治療を受けていただきました。 治療の所見 血管造影を行うと、首こりの主たる責任血管である深頸動脈にてモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。左肩甲骨周囲の肩こりに関する血管も治療しました。特に肩甲上動脈でモヤモヤ血管が豊富に認められました。それぞれ、治療後は画像上速やかに消失しました。左肩棘上筋腱石灰部に伸びる血管なども含め治療を行い終了しました。 治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管 治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態 治療費用:税込324,500円〜357,500円 主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。 治療後の経過 治療後3日ほどで痺れがほとんど無くなりました。左4,5指がほんの少し痺れを感じる程度で顔の痺れも含めてほとんど解消されました。治療後1ヶ月半、日常的な痛みがまだ無くなったわけではないものの、強い痛みは大幅に減少しました。頭痛はあっても鎮痛薬を服用するほどではなくなりました。その後も左半身に及んだ痺れはぶり返すことなく経過しています。突然しびれが左半身に広範囲に生じ、大変不安だったことと思います。脳梗塞も疑われますので、まず脳外科を受診されたのは良いご判断でした。幸い脳の異常は無く、頸椎にもそれほどの問題がなかったわけですが、神経は脊椎から出た後、筋肉の間を通って末梢に分布しますので、こりがひどくなると神経障害を伴うこともあります。おそらく一定程度の頸椎症と首肩こり(頸肩腕症候群)が合併した病態であったものと考えられます。治療により早期から改善されたことからも、血行・筋・筋膜の影響が大きかったのでしょう。尚、首こりの治療を行うと顔面の症状や頭痛も一緒に改善されることがあります。頭痛や食いしばり、顎関節症、顔こりが本格的に悪いと同部位に対する直接の治療が必要ですが、本症例のように顔面や頭部に症状が及んでからの日が浅かったり、軽症であったりする場合は頸部の治療のみで事足ります。 首こり・肩こりの詳しい病状説明はこちら 【50代:男性】5年間苦しんだ頸椎/腰椎レーザー手術後遺症による痛み、突っ張りに対するモヤモヤ血管治療(頸椎/腰椎レーザー手術後遺症、固定術後、神経障害) 前の記事