手:ばね指など 【50代:女性】骨折(橈骨遠位端骨折)治癒後も手首の小指側が痛い・・TFCC損傷および腱鞘炎に対するモヤモヤ血管治療(外傷後疼痛、橈骨遠位端骨折、TFCC損傷、尺側手根伸筋腱腱鞘炎) 2026.02.20 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 4ヶ月前にバレーボールで手をついた際に右橈骨遠位端骨折を起こし、2ヶ月半くらいで治療が終了しましたが、その後特にきっかけなく右手首の小指側に痛みが出るようになりました。整骨院では骨折による拘縮が原因かもしれないと言われ、週2回の通院を続けましたが痛みが改善しませんでした。根本的なものを治したいと思い当院を受診されました。2ヶ月前からは五十肩も合併しており、併せて治療を希望されました。 診察時の所見 疼痛部位の特徴や、受傷機転からはTFCC損傷が疑われました。エコー検査では小指側の腱鞘炎(尺側手根伸筋腱の腱鞘炎)も合併していることが分かりました。右肩関節は自覚されていたとおり五十肩(凍結肩)で間違いありませんでしたが、比較的早期であり夜間痛は伴っておらず、動作時の痛みが主体でした。いずれも治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。 治療の所見 まず肩関節の治療を行いました。血管造影を行うと、肩関節では肩甲上動脈、烏口枝などでモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。その他複数箇所の治療を行い終了しました。続いて右手首の治療です。TFCC損傷の主要責任血管である骨間動脈で同様にモヤモヤ血管が豊富に描出されました。骨折後でしたので、その分より多く認められたのかもしれません。両方合わせて25分程度で治療を終了しました。 治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管 治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態 治療費用:治療する部位によって費用が異なりますのでこちらをご参照ください。 主なリスク・副作用等:針を刺した場所が出血により腫れや痛みを生じたり、感染したりすることがあります(穿刺部合併症)。造影剤によるアレルギー(皮膚のかゆみ・赤み・息苦しくなるなどの症状)が出ることがあります。 治療後の経過 治療後、右肩は1週間経たないうちに楽になり9割程度の痛みが改善されました。動きも良くなりました。治療後2週間、右手首も術前の痛みの半分以下となりました。まだ違和感は残っており、力がまだ十分入れられませんでした。非常に経過良好でしたので、しばらく間隔を空けて治療後2ヶ月半で再診としました。右肩は引き続き順調にほとんど痛みはありませんでした。右手首も日常生活では問題なく、スポーツ復帰も果たせていました。まだスポーツの後には少し痛みが出ました。手首の背屈や回内回外動作では異常なく、エコー検査でも問題ありませんでしたので終診としています。残存症状については、安静による自然軽快が見込まれます。 TFCC損傷は局所の酷使により時間をかけて形成されることが多く、今回の受傷時に一気に悪くしてしまった可能性があります。カテーテル治療後の経過としては、すぐにカラッと良くなるというよりは、1ヶ月半くらいまでの間に、大幅に改善され、しばらく一定の少しの痛みや違和感が持続し、時間経過とともに改善されていくことが多いです。一方、スポーツなどが原因であることが多く、痛みがある程度良くなると完治していない状態でも早期から復帰したり、治療中もプレーし続けたりする方は少なくありません。酷使を続けると、良くなるのに時間がかかったり、多少の再発をしたりということもあります。治療後、少なくとも1ヶ月程度は酷使しないことが重要です。尚、実際にはただ炎症が起きているだけではなく損傷しているため、その重症度には個人差があります。正確に評価するためにはMRI検査が必要ですが、一般的にはほとんどの場合で保存的治療方針となります。モヤモヤ血管治療は非常に有力な治療選択肢ですが、本症例では骨折後遺症や腱鞘炎についても同時に治療できており、より意義が大きかったものと思われます。 TFCC損傷の詳細はこちら 【50代:女性】顔面に生じた難治の痺れと痛み、顔面骨折に三叉神経第2枝損傷を合併した外傷後疼痛に対するモヤモヤ血管治療(外傷後疼痛、顔面骨折、三叉神経第2枝損傷) 前の記事 【50代:女性】首がきしみ、肩はガチガチ、頭が重く、顎はカクカク・・2回のカテーテル治療により改善した重症首肩こりおよび頭痛・顎関節症(詳細説明あり)(首肩こり、頸肩腕症候群、頭痛、顎関節症、食いしばり(ブラキシズム)) 次の記事
手:ばね指など 【60代:男性】痛くてドアノブも回せない、5年以上続いた手首の痛み。腱鞘炎に変形性手関節症を合併した一例(尺側手根伸筋腱の腱鞘炎、変形性手関節症、ドゥケルバン腱鞘炎) 2025.11.10