肩:肩こり・四十肩・五十肩

【50代:男性】真っすぐに座ると首から腕に激痛が・・車の運転がつらい・・重症首肩こりに対するモヤモヤ血管治療(首肩こり、頸椎症性神経根症)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

3年前から首に違和感がありました。4ヶ月前に左肩に強烈な痛みが走り、レントゲン検査・MRI検査を受けたところ、症状の無い右肩も含めて両肩腱板に石灰沈着を認め、石灰沈着性腱板炎およびストレートネックと言われました。リハビリの方針となりましたが、効果を感じられず通院を止めていました。その後、1ヶ月前頃からは異なる症状が出てきて、背骨が真っ直ぐになるような姿勢をとると首~左肩~左腕にかけて痛むようになりました。特に椅子に座ると顕著であり、車の運転が日常的に苦痛となりました。治療方法を求めて当院を受診されました。

診察時の所見

症状の性状からは、肩関節周囲炎ではなく、頸椎症性神経根症や、重症の首肩こりである頸肩腕症候群などが疑われました。やはり、両肩関節の可動域は問題ありませんでした。一定の動作時時は見られました。首の可動域は中等度制限されており、特に後屈ではより顕著でした。レントゲンでは、頸椎は比較的保たれていました。肩関節では右側で腱板領域に粗大石灰を、左側でも少量の石灰沈着が見られました。しかしながら、エコー検査ではこれらの石灰沈着部周囲には炎症所見は見られず、陳旧性のものであることが示唆されました。一方、上腕二頭筋長頭腱周囲には水腫が見られるなど一定の炎症所見が認められました。また、棘上筋腱の部分断裂も認められました。以上より、首肩こり、および軽度の両側肩関節周囲炎(有痛性腱板損傷および、石灰沈着性腱板炎後遺症)と診断しました。治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

血管造影を行うと、やはり肩関節のモヤモヤ血管よりも頸部のモヤモヤ血管の方が目立っていました。特に左頸部における深頸動脈造影においてモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。その他複数箇所の治療を行い終了しました。

治療後の経過

治療当日から改善し、治療後2週間では、ほとんど痛みが気にならなくなりました。首を動かした際に時折つんとするような痛みが出る程度でした。よく眠れるようにもなりました。『正直半信半疑だったが、良くなってうれしい』と言われました。その後、痛みではないものの首から肩にかけてずーんと感じることはありましたが、治療後2ヶ月半になると痛み・こりともほぼ消失しました。運動習慣も取り入れていただき、様子を見ることとしました。その後も左頸部~肩の症状はぶり返すことなく順調に経過されています。尚、腱板石灰についてはやはり陳旧性のものであり、症状改善後も残存していました。新鮮なものではないため、自然吸収は期待できませんが、残存していても痛みなく過ごせる方は多いです。本症例は、頸部由来の上肢に至る神経症状をきたしている状態でした。頸椎症性脊髄症については治療効果に限界がありますが、神経根症までの段階、あるいは筋・筋膜・血行などに起因するいわゆる重症の首肩こりであれば、モヤモヤ血管に対する運動器カテーテル治療が非常に有効です。治療後は、痛みの改善だけでなく、よく眠れるようになった、眠りが深くなった、身体が軽くなったなどの感想をいただくことが多いです。首肩の不調は全身の不調につながりますので、お悩みの方はぜひご検討いただくとよいと思います。

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