肘:テニス肘・ゴルフ肘など

【50代:男性】サーブの際に肩が痛い、テニスが原因の肩鎖関節炎およびゴルフ肘(肩鎖関節炎、上腕骨内側上内顆炎)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

1年前から右肩を痛めるようになりました。長くテニスをしていますが、特にサーブの際に痛みが生じていました。3ヶ月前からは右肘の内側も痛めるようになりました。ロキソニンを服用することで、何とかプレーできるものの、終ってから酷く痛んでいました。当初、整形外科では五十肩およびゴルフ肘と言われ、肩関節にはヒアルロン酸注射を受けていましたが、多少和らぐものの改善に至らず、当院を受診されました。

診察時の所見

右肩関節の可動域は保たれていました。エコーでは、肩甲下筋腱に軽微の損傷を認めた以外腱板は概ね保たれている一方で、肩鎖関節に異常血流信号の増強を認めました。右肘では、上腕骨内側上顆に一致して圧痛を認め、負荷テスト陽性、エコーでは同部の腱付着部骨表層不整像や血流信号の増強などを認めました。以上より、右肩鎖関節炎、関節唇損傷疑い、軽微の有痛性腱板損傷疑い、右上腕骨内側上顆炎(いわゆるゴルフ肘)と診断しました。治療適応と判断し、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

まず右肩関節の血管造影を行うと、肩甲上動脈で肩鎖関節に一致してモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。続いて肘内側では、尺側側副動脈および尺側半回動脈にてモヤモヤ血管が描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。

治療後の経過

治療後3週間くらいから改善し、1ヶ月半の受診時には肘の痛みは消失していました。右肩の痛みも小さくなっているものの、まだサーブの時には一定程度残っていました。その後さらに改善が進みましたが、治療後5ヶ月時点で、右肩の痛みは9割方の症状はとれているものの少し残っている、肘は引き続き痛みなく経過しているという状態でした。肩鎖関節炎や腱板損傷後の治療経過としては、8-9割方の症状が取れた後も、完全に痛みが消失するには半年~1年程度かかることがあります。無理をし過ぎない範囲でテニスを楽しんでいただき、引き続き慎重に過ごしていただくこととして終診としました。

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