肩:肩こり・四十肩・五十肩 【60代:女性】関節注射で失神、リハビリで悪化、何をやっても治らなかった腱板断裂による耐え難い右肩の痛み(有痛性腱板損傷、肩関節周囲炎) 2025.07.18 鴨井院長による動画解説 受診までの経過 2年前に右肩を痛めました。棚の整理や、畑の仕事での酷使が原因でした。5ヶ月前から痛みが増してきたため、MRI検査を受けたところ、棘上筋腱の部分断裂及び腱板疎部損傷と診断されました。断裂は治らない、痛くなることをしないよう過ごすようにと言われました。痛み止めの注射をお願いしたところ、関節注射を受けた際に肩にズンと来て気を失ってしまいました。注射はやめることとなり、リハビリ治療を始めましたが、リハビリ後は翌日1日中ひどい痛みとなるため数回で中止しました。ステロイドと痛み止めの入った点滴を受けて4日ほどは痛みが緩和されましたが、その後戻り、寝ても覚めても痛む状態でした。だるくて重く、ズキズキとしました。可動域も悪化し仕事や日常生活に大きく支障をきたすため、当院を受診されました。尚、10代の頃に右肩脱臼の既往がありました。 診察時の所見 右肩は水平まで腕を上げることができず、前から反対の肩に手を回せない、後方には臀部に触れるのもままならないほどの高度の可動域制限を認めました(外転80度、外旋30度)。レントゲンでは異常はありませんでしたが、エコー検査では、前方からの観察において腱板疎部や腱板周囲に異常血流信号を認めました。棘上筋腱の他、肩甲下筋腱にも部分断裂所見を認めました。有痛性腱板損傷の診断で、首肩こりと併せて、モヤモヤ血管(病的新生血管)に対する運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。 治療の所見 血管造影を行うと、頸部では首こりの主要責任血管である深頸動脈にてモヤモヤ血管が濃染像として描出されました。肩関節の治療では、肩甲上動脈および烏口枝にてモヤモヤ血管が同様に描出されました。治療後は画像上速やかに消失しました。その他複数箇所の治療を行い終了しました。 治療後の経過 治療後1週間くらいは変化がなく心配されていましたが、10日を過ぎたくらいから、すごく楽になってきました。夜に痛みで起きることは無くなりました。治療後2週間時点で、首肩こりもだいぶ楽になりました。治療後1ヶ月、元の症状の7割程度は改善しました(3/10程度)。その後の改善の進捗はゆっくりでしたが、可動域も含めて少しずつ改善が進みました。治療後3ヶ月、夜の痛みは全く無く、外転130度、外旋・内旋動作はほぼ正常まで回復するなど可動域も大幅に改善しました。まだ一定の症状が残存していましたが、ご遠方でもあり、一旦様子を見ることとなりました。 【30代:男性】ひどい痛みではないものの、いつまでも治らなかった右臀部の痛み(仙腸関節障害) 前の記事